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武田 砂鉄・評『ヒロインズ』ケイト・ザンブレノ 著

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言葉で胸ぐらを掴(つか)む 差別すんな、物言わせろ

◆『ヒロインズ』ケイト・ザンブレノ/著 西山敦子/訳(C.I.P.BOOKS/税別2300円)

 医大の入試で女性が一律減点されていたとの差別が発覚しても、医師にアンケートを実施したら過半数が理解を示したんです、などという結果を示し、「しょうがないよねモード」で乗りこなそうとするメディアの鈍感さは、この手の報道機関が相変わらず女性に不寛容であることを知らせる。女性が女性であることを理由に得点を下げられた。その時に、医師の声を優先すべきではない。なぜ、潰された女性の存在に目を向けないのか。

 なぜか。潰されてもいいと思っているからだ。本書を貫くのは、潰されねぇよ、と跳ね返す意志だ。モダニズム作家の「妻や愛人たち」について記し始めた著者は、彼女らが男の物書きにいかに隷従し、自分の言葉を剥奪され、存在を消されてきたのか、その史実を体感する。

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