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SUNDAY LIBRARY

木村 衣有子・評『パクチーとアジア飯』阿古真理・著

◆『パクチーとアジア飯』阿古真理・著(中央公論新社/税別1600円)

 台所に立つ前に、まだつくったことのないものやご無沙汰のものに着手しようとレシピを探すようなやる気のある日と、食卓のイメージの輪郭が描けない日がある。後者の場合、とりあえずなにか炒めよう、というところにおさまりがちだ。そんな弱ったときの拠(よ)り所(どころ)、炒めものは、そもそも中国料理が普及する過程で戦後に定着したもので、ガス火で「安定した火力で料理できる」ようになり、台所には換気扇が設置されているのが当たり前になってからだと『パクチーとアジア飯』にはある。そう、炒めものも「アジア飯」なのだった。

 ベトナムの生春巻き、南インドのカレー定食「ミールス」などアジア大陸のメニューが、どんな経緯で日本で愛食されるようになったかを辿(たど)る中で、タイトルに掲げられる、英語ではコリアンダー、中国語ではシャンツァイ、そしてタイ語での呼び名が最も馴染(なじ)みがある鋭い香りの野菜「パクチー」と、カレーの歴史を追う章の〆(シメ)に登場する「大阪スパイスカレー」には、共通点があるなと気付いた。現地の佇(たた…

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