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北海道地震

1週間 企業節電、四苦八苦 看板点灯遅らす/自家発フル稼働

節電が呼びかけられている時間が過ぎても看板の照明が消されたままのススキノの歓楽街=札幌市中央区で11日午後9時51分、竹内幹撮影

 北海道南西部の胆振地方を震源とする地震の発生から13日で1週間が経過した。電力供給に不安が残る中、北海道内に生産拠点や店舗などを持つ企業各社は活動を再開し始めており、政府が要請する「2割節電」の目標達成に向けさまざまな取り組みを進めている。【横山三加子、柳沢亮、藤渕志保、小倉祥徳】

     トヨタ自動車は、変速機などを造る子会社「トヨタ北海道」の工場が10日に稼働を再開した。節電のため、一部部品について電力使用量の多い日中の生産を減らして夜間・早朝に回したり、工場内の換気回数を減らしたりするなどの対策を実施。「生産水準の維持と2割の節電を両立する体制を整えた」(トヨタ北海道)という。いすゞ自動車のエンジン部品製造子会社「いすゞエンジン製造北海道」は8日に工場の稼働を再開。自家発電機を使用しているほか、新たに神奈川県の工場から発電機を移送して自家発電を増やす計画だ。

     電力使用量を見極めながら生産再開に踏み切っているメーカーも多い。サッポロビールは、10日から恵庭市の工場の操業を再開した。ただ、自家発電機は使用しているものの、節電のため生産は三つあるラインのうち二つにとどめており、「電力使用を削減する体制を探っている状況」(広報)。今後、夜間操業なども検討する。

     キリンビールは12日に在庫の出荷を始めたが、「商品の安全性や品質に万全を期すため」(広報)、生産再開は19日になる見通し。節電対応で、通常の24時間稼働を中止し操業時間を短縮する計画だ。

     一方、北海道電力に電力供給しながら生産再開する企業もある。日本製紙は、道内の3事業所が12日までに操業を再開。いずれも自家発電設備があり、北電に電力供給をしながら生産している。王子ホールディングスも11日までに道内の主要4工場で操業を再開し、自家発電設備のある3工場は北電に電力を供給している。

     サービス業も取り組んでおり、大手スーパーのイトーヨーカドーは、店内の一部の照明を通常の8割程度の明るさにして営業。レストラン「ガスト」など道内で29店舗を運営する「すかいらーく」は、空調の使用を控えたり一部の看板の夜間の点灯を午後8時半からにしたりしている。

    乳製品、正常化遠く

     地震で、北海道内の酪農業も大きな影響を受けた。道内の乳業工場は操業を再開したものの生乳の生産量が回復せず、牛乳や乳製品の品薄感解消には時間がかかりそうだ。

     地震後に発生した大規模停電時、道内の酪農家は自家発電機を融通し合って搾乳機を使った。電力は順次復旧したが、停電中に搾乳を十分にできなかったことで乳房炎にかかるなど牛の体調が悪化。「乳量は地震前より明らかに落ちている」(ホクレン農業協同組合連合会)という。

     道内にある大手乳業メーカーの工場は10日までに操業を再開したが、生乳不足や政府の節電要請を受け、製品の量や種類を絞って製造している。各社とも「平常時の状態に戻るメドは立っていない」(森永乳業)状況だ。さらに「計画停電が実施されるとその都度設備の点検が必要。再稼働には時間がかかるため生産が不安定になる」(雪印メグミルク)との懸念もある。

     東京都練馬区のスーパーマーケット「アキダイ」では地震後、北海道産牛乳の入荷が途絶えた。それ以外の産地の牛乳も、メーカーから発注制限をかけられている。秋葉弘道社長は「今年は猛暑で元々の生乳の量が少なかったこともあり、通常時の約7割しか入荷できていない」といい、品薄感はしばらく続きそうだ。酪農団体の全国組織である中央酪農会議は「量は少なくても、牛乳は毎日出荷されている。消費者には冷静に対応してほしい」と呼び掛けている。

     今後は冬に向け、ケーキ用のバターなど乳製品の需要が高まる。生乳の量が限られる中「牛乳向けに生乳を振り向け続けると、乳製品にも影響が出る」(業界関係者)との指摘もある。農林水産省は、生乳の早期の生産回復を支援するため、牛の乳房炎の治療や予防に必要な薬を購入した場合、購入費の半額を補助することを検討している。

     酪農以外でも影響は残る。貨物列車の再開が道内の一部地域で遅れているため、JA士幌町は12日から開始予定だった埼玉県行きの加工用ジャガイモの専用列車の運行を見合わせた。また、その他の野菜も、トラック輸送に切り替えているという。【小川祐希】


     ■KeyWord

    企業の節電

     石油危機を契機とした1979年の省エネ法制定以降、企業は節電を含めた省エネに本腰を入れ始めた。2011年の東日本大震災後は、原発停止による電力不足の懸念から政府や電力会社が企業や家庭に節電を呼び掛けた。11年夏に政府が、東京電力管内の大企業に対して電力使用制限令を発動し、罰金付きで15%の節電を要請。企業は工場の稼働を電力需要の低い夜間にしたり、日中の鉄道の運行本数を減らしたりして対応し、社内照明のLED化など省エネも進んだ。この結果、東電管内では工場など産業部門で3割、オフィスなど業務部門で2割の節電につながった。節電意識の定着や供給力確保を背景に、政府は16年夏以降は節電要請を見送っている。


    北海道内での企業の節電取り組み

     <食品>

     ・キリンビールは工場の24時間操業を止めて、短縮操業する予定。サッポロビールは電力需要が低い夜間の工場稼働を検討。

     <電機>

     ・パナソニックは工場の空調の使用量を減らし、自家発電設備をフル稼働。京セラは機器の充電を電力需要の低い夜間にずらして対応。

     <自動車>

     ・いすゞ自動車は神奈川県の工場の自家発電機を道内の子会社に搬入して使用予定。

     <製紙>

     ・日本製紙は自家発電設備を稼働。昼間は北電への電力供給を優先し、夜間操業を強化。

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