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北海道地震

1週間 豊かな厚真と友思う 開拓民の絆、心に刻み

亡くなった幼なじみの畑島武司さんの自宅跡で思い出を語る幅田亮さん=北海道厚真町で11日午後3時39分、山崎一輝撮影

 北海道胆振(いぶり)地方を震源とする最大震度7の地震から13日で1週間。41人が亡くなる甚大な被害に人々は言葉を失い、犠牲者の冥福を祈った。発生直後に大規模停電で住民生活が深刻な影響を受けたほか、自宅倒壊などで12日午後6時現在、8市町で1592人が避難生活を強いられている。

     家の壁は土砂に押しつぶされてはがれ落ち、周りには泥にまみれたシャツや枕が散乱していた。最大震度7の地震に襲われた北海道厚真町。犠牲になった畑島武司さん(86)の自宅前で、隣に住む幼なじみの幅田亮(まこと)さん(89)が崩れた裏山を見つめた。「なんで武司ちゃんが……なんで助からなかったかね……」。ぼうぜんとした表情で語った。

     6日午前3時8分、「ドダダダン」という地響きで目を覚ました。揺れが収まるのを待って倒れてきた洋服タンスの下からはい出し、畑島さん宅を見に行った。裏山が崩落し、たくさんの土砂や倒木に遮られて暗闇の中、家は見えなかった。

     幅田さんは避難所に身を寄せて昼ごろいったん自宅に戻った。畑島さんの家は裏山から流れ込んだ土砂や大木が倒れかかり、30メートルほど押し流されていた。「何とか武司ちゃんを助けてくれないか」。捜索中の作業員に畑島さん夫婦の寝室の位置を伝えた。その後、畑島さんと妻富子さん(81)が亡くなったと知った。

     明治時代、本州から多くの農民が北海道に移り住んだ。畑島さんの祖父・吉次郎さんは1899年に富山県から入植した。一帯は湿地帯で、祖先が木を切り倒し、原野を田畑にかえた。

     2人は富山県からの開拓農民の子孫で、家族ぐるみの付き合い。子どものころ、裏山は格好の遊び場で冬にはスキーで滑った。しかし、その裏山が地震で崩落し、畑島さんの命を奪った。「この辺りは地盤が強くて、大きな災害にやられたこともない」。幅田さんは言葉を詰まらせる。

     畑島さんは小学校卒業後、農業を継いだ。20歳の頃に父親を亡くしたが、弱音を吐かずに農作業を続けた。農業機械がない時代、集落ではお互いに農作業が遅れると駆けつけて助け合った。

     20代で富子さんと結婚。夫婦でコメづくりに励み、3人の息子にも恵まれた。盆になると、庭で家族が集まってジンギスカン鍋を囲んだ。

     畑島さんは生まれ育った築約110年の古民家を町に寄贈した。大黒柱とはりを金物を使用せずに組み上げた富山の伝統的な「越中造り民家」。現在は町内の別の場所に移築されて「旧畑島邸」として保存されている。「先祖の家を武司ちゃんは大切にしていた」と、幅田さんは振り返る。

     畑島さんは数年前から田んぼを貸し、近くの畑で野菜を育てていた。地震の3日前、幅田さんが自宅前の納屋で作業している時に畑で取れたスイカを「食べてや」と持ってきた。地震が起きた日の昼、熟れたスイカを食べると、自宅の庭でマツを刈り込み、花々を手入れする畑島さんの姿が思い出された。

     11日、畑島さん宅前には、ピンクのユリと黄色のキクの花束とジュース缶が置かれていた。「かわいそうにね。何もなくなってね……」。幅田さんは、じっと泥の地面を見つめた。【川上珠実】

    りりしい姿、再会かなわず 厚真の高1・滝本さんしのぶ

    倒壊した家屋から見つかった、フルートを演奏する滝本舞樺さんの写真(遺族提供)

     祭壇には、曽祖母の滝本芳子さん(95)、父の卓也さん(39)とともにほほ笑む滝本舞樺(まいか)さん(16)=厚真高1年=の遺影があった。その前にはたくさんの菓子やジュースが供えられていた。北海道苫小牧市内で11日夕、営まれた通夜に参列した親戚の男性(80)は「天災の恐ろしさと悲しみを感じます。舞樺は活動的でしっかりした子でした」とつぶやいた。

     地震が発生した6日、自宅は地震による土砂に押しつぶされた。捜索現場では、妹の写真を手にした兄(17)の姿があった。「自宅のあった場所からきれいにこれが出てきた。持って帰ろうと思います」。背筋を伸ばし、りりしい表情でフルートを吹く舞樺さん。「早く出てきてほしい」。だが、兄の願いはかなわなかった。

     中学時代は吹奏楽部に所属。友人が部活動で悩んでいた時、明るく励ます生徒だった。後輩の中学3年、鈴木葉子さん(15)は「後輩にも分け隔てなく接してくれる明るい人でした」と寂しそうな表情を見せた。【北山夏帆】

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