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北海道地震

発生1週間 応援送電、需給一時平衡

停電が続き、暗闇に包まれるススキノ交差点=札幌市中央区で2018年9月6日午後6時半、貝塚太一撮影

謎残る全面停電

 北海道南西部の胆振地方を震源とする最大震度7の地震が発生してから13日で1週間。道内全域が停電する前代未聞の「ブラックアウト」に至った経緯が徐々に見えてきた。主力の苫東厚真火力発電所(北海道厚真町)に大きく依存する態勢に、需要が少ない時期の被災という悪条件が重なった。ただ全電源が停止した原因はなお不明で、政府は近く、北海道電力の初動対応が適切だったかも含め、第三者を交えて検証する。

 「何だ、これは!」。6日午前3時8分、同火発の中央操作室。机の下に身をかがめ震度7の揺れをやり過ごした当直職員が、電力需給状況を表示する機器に示された異常な数値を見て悲鳴をあげた。厚真2号機(60万キロワット)と4号機(70万キロワット)が揺れを感知し自動停止、当時の需要310万キロワットの4割を賄う電源が一瞬にして失われていた。

 電力は需給バランスが大きく崩れると大規模停電につながる。一部地区への供給を強制的に止めて需要を抑える「負荷遮断」が自動的に作動、本州側からの応援送電も始まった。本州からの送電は3時11分ごろ全60万キロワットに達し、需給バランスは回復していたとみられる。

 ところが、25分には厚真1号機(35万キロワット)、伊達、知内、奈井江、森の各火力が同時に停止して「ブラックアウト」に。以降10時間半以上にわたり道内全295万戸が停電した。1号機の停止が引き金となり全停止を招いたのか、別の原因で他の発電所と同時に止まったのか。最大の謎が残るが、現時点で北電は「データを詳細に検証したい」(阪井一郎副社長)と述べるにとどめている。

 そもそも北電の備えは適切だったのか。事故や災害で発電設備が予定外に止まる恐れについて、北電は過去の実績からピーク需要の約25%に相当する129万キロワットと想定し、それに耐える供給力を備えていた。だが今回のように「(苫東厚真が)3基まとめて停止する形は想定していなかった」(真弓明彦社長)という。東京電力関係者は「東日本大震災後、東電では半分近くが脱落する事態も想定していた」と北電の想定に疑問を呈した。苫東厚真に供給力の多くを頼りながら、それが全て止まる事態をどこまで織り込み、対策を取っていたかは今後の検証の焦点だ。

 また北電は2011年の大震災後、出力計207万キロワットの泊原発(北海道泊村)の停止を余儀なくされ、16年には電力小売りが全面自由化されてコスト競争が激化した。経営環境が厳しさを増す中、「泊原発の再稼働を当て込んで既存設備への投資を絞ったため十分に備え切れなかった」(他の電力大手幹部)との見方もある。経済性と安定供給のバランスに対する北電の認識も問われそうだ。

 一方、悪条件が重なった面もある。北電では需要が500万キロワットを超える冬場が年間のピークで、300万キロワット台の夏場は点検のため停止中の発電所も多かった。東京理科大の山口順之講師(電力系統工学)は「電力会社はピークに合わせて供給力を備えており、需要が少ない時の備えが後手に回ったのではないか」と指摘する。【野原寛史、袴田貴行、岡大介】

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