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沖縄知事選告示 争点がかみ合う選挙戦に

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 米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対してきた翁長雄志(おながたけし)氏の死去に伴う沖縄県知事選が告示された。

 安倍政権の支援する佐喜真淳(さきまあつし)前宜野湾市長と、翁長県政の継承を訴える玉城(たまき)デニー元衆院議員による事実上の一騎打ちだ。

 佐喜真、玉城両氏は「世界一危険な基地」といわれる普天間飛行場の「一日も早い返還」では一致する。

 ただし、玉城氏が移設を前提としない「閉鎖」を主張するのに対し、佐喜真氏は辺野古移設への賛否を明言していない。

 佐喜真氏は自ら日米両政府と交渉することによって「現実的に取り組む」と主張している。移設受け入れも視野に、経済振興策などを政府に求める構えとみられる。

 沖縄の政治は、日米安全保障体制に反対して反基地闘争を展開する革新系と、「基地より経済」という保守系の対立が長く続いてきた。

 日米両政府が普天間返還で合意した1996年以降、5回の知事選が行われ、翁長氏が当選した前回2014年を除く4回は保守系が勝ったものの、辺野古移設の受け入れを明言して当選した知事はいない。

 その曖昧な構図を打ち破ったのが4年前の翁長氏だ。

 翁長氏は自民党出身ではあるが、「辺野古新基地反対」の一点で保守系の一部と革新系を糾合して「オール沖縄」勢力を構築した。日本全体で負担すべき米軍基地が沖縄に偏在するいびつな現状と闘うのに保守も革新もないとの考えに基づく。

 玉城氏は第一声で、翁長氏の唱えた「イデオロギーよりアイデンティティー」を強調した。弔い合戦ムードを高めて前回知事選の翁長氏支持票を取り込もうとしているが、翁長氏の死去によって陣営の革新色が強まっている側面も否めない。

 対する佐喜真氏は、翁長県政下で国との対立が深まったことを念頭に「対立から対話へ」を掲げた。ならば、辺野古移設問題で政権とどう対話するのかを明らかにすべきだ。

 4年前に示された民意を無視することはできない。今回、どちらが勝つにせよ、国と沖縄の間で、辺野古移設を含む基地負担のあり方をめぐる協議が必要になるだろう。

 争点のかみ合う論戦を展開し、県民に判断材料を提供してほしい。

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