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余録

医学者が研究熱心のあまりに自分の身で試してみる話はよく聞くが…

 医学者が研究熱心のあまりに自分の身で試してみる話はよく聞くが、ドイツの医師ベルナー・フォルスマンはすごい。彼は自分の腕の静脈にゴムの細い管を入れ、片方の手で管を心臓へと押し入れていったのだ▲彼はそのまま地下のレントゲン室へと歩いて行き、X線写真で管の先端が心臓に達しているのを確認した。後年、この写真が証拠となり、彼は心臓カテーテル法のパイオニアの一人としてノーベル医学生理学賞を受賞することになる▲いや、こちらもすごいといえばすごい。大腸の内視鏡検査の苦痛や不快感の軽減法の効果をわが身で試し、座った姿勢での内視鏡挿入が楽なのを発見したというのだ。その日本人医師が今年のイグ・ノーベル賞の医学教育賞に輝いた▲この人は長野県の病院に勤める堀内朗(ほりうち・あきら)さんで、米ハーバード大での授賞式では内視鏡を自分のお尻に入れる方法を身ぶりで示して会場をわかせた。「検査は簡単。これを機に検診を受ける人が増えてほしい」が堀内さんの言葉である▲残念ながら座位の検査は「恥ずかしい」ので普及していないが、日本人のイグ・ノーベル賞受賞は12年連続となる。独創的でユーモラスな研究に贈られる同賞である。「研究熱心」から生まれるおかしさも日本人には追い風のようだ▲賞の創始者は「日本の研究者は豊かな想像力があり、奇抜で、すばらしい」というから、まだ受賞は続きそうだ。豊かで奇抜な想像力なしに科学の進歩はない。むろん異端の「研究熱心」も同様である。

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