メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

盲ろう者

「世界広げて」タンデム活用で自転車の楽しさを

タンデム自転車を使って盲ろう者のサイクリングを支援する鈴木さん=横浜市港北区で

22日、横浜で体験会

 聴覚と視覚の両方に障害がある盲ろう者にサイクリングの楽しさを知ってもらおうと、横浜市港北区の自転車店経営者が、2人1組でこぐ「タンデム自転車」の活用を模索している。22日には、横浜市体育協会が開くタンデム自転車の体験会に参加し、魅力を呼びかける。【インターンシップ生・奥田樹、木内亜里紗、藤沢七海】

     自転車店「グルペット」を経営する鈴木宏行さん(51)。会社員だった2005年ごろに、光も音も失った盲ろう者の生活をテレビ番組で知った。スポーツ自転車(ロードバイク)の競技経験もあった鈴木さんは、「サイクリングを通じ、盲ろうの子どもたちが外に出るきっかけを作りたい」という漠然とした思いを抱いて脱サラ。14年に開業した。

     転機が訪れたのは、開業から半年後。聴覚障害者の国際的なスポーツ大会「デフリンピック」で自転車競技に出場する選手らがたまたま来店し、親交を深めるようになった。鈴木さんが選手に、前輪の上に大きな籠のある自転車に盲ろうの子どもを乗せてサイクリングを楽しんでもらう案を話したところ、こう言われた。「子どもたちは、自分でこぎたがるんじゃないかな」

     選手のアドバイスを受け、2人1組で乗るタンデム自転車を購入した。健常者が前部でハンドルを取り、後ろに乗った盲ろう者も息を合わせてペダルを踏む仕組みで、パラリンピックの種目にも採用されている。ただ、タンデム自転車の走行については条例などで規制があり、自転車の形態や走行する道路などに注意が必要だ。

     盲ろう者は普段、歩行より速い速度を経験することがない。盲ろうの大学生を乗せて走ったところ、風を切って走るスピード感を楽しんでくれた。右左折やブレーキを踏む時などは、事前に手を握るなどして知らせるといった密なコミュニケーションも必要だと学んだ。

     22日の体験会は、港北区の日産スタジアムで開かれる自転車のイベント「サイクルパークフェスティバル」に合わせて開催。ロードバイクを通じて知り合った市体育協会関係者の協力で実現した。盲ろう者だけでなく、健常者には耳栓やアイマスクで盲ろうの世界を体験してもらうことも考えている。鈴木さんは「光や音がない世界でも、匂いや風は感じられる。タンデム自転車で世界を広げ、海岸の潮風から街中の匂いまでを感じてもらいたい」と話している。

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 新潮45休刊 突然の決断、予想超えた批判
    2. 新潮社 「新潮45」休刊声明全文 「深い反省の思い」
    3. 新潮45休刊 「組織ぐるみ擁護に怒り」新潮社前でデモ
    4. 伊方再稼働許可 「福島の事故忘れたか」被爆者ら怒り
    5. 新潮社 「新潮45」が休刊 杉田氏擁護特集で批判浴び

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです