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北海道地震

ハスカップ1割被害 「厚真の活力」再起誓う

土砂で倒れたハスカップを見つめる山口善紀さん=北海道厚真町で2018年9月13日午前10時28分、金子淳撮影

 北海道胆振東部地震で震度7を観測した厚真町は、ジャムなどの原料になる果実「ハスカップ」の作付面積日本一を誇る。特産品を3代にわたって育てる山口善紀さん(47)の畑は一部が土砂で埋まり、果樹5000本のうち約1割がなぎ倒されてしまった。成木になるまで少なくとも5年かかるが、山口さんは「消費者がおいしいと喜んでくれれば、厚真の活力になる」と再起を誓う。

 高さ約2メートルの果樹は灰色の土砂と倒木で覆われていた。周辺には幅十数センチの亀裂が走る。「奥の山が崩れてきた。どうすればいいのか」。土がかからなかったハスカップの枝を手に山口さんがつぶやいた。

 山口さんの祖父母と母美紀子さん(70)は78年、自生していたハスカップ1000本を移植し、栽培を始めた。だが相手は自然の果樹。苦みや酸味が強いなど味にばらつきがあった。

 「このままでは長続きしない」。

 将来を案じた美紀子さんは、小学生だった山口さんと弟(46)に試食させ、苦い木に「×」を付ければ1本当たり100円のお小遣いをあげた。敏感な子供たちの舌で少しずつ「選抜」された果樹は、やがて甘くて大きな実を付けた。

 山口さんは専門学校を卒業後、製紙会社に就職。2003年ごろに父の病気を機に退職し、2年後に「厚真町のハスカップを日本一にしたい」と家業を継いだ。品種改良にも取り組み、09年には糖度の高い2種を品種登録。それぞれ「厚真町の未来を背負って立ってほしい」と願いを込めて「あつまみらい」、「(厚真町が位置する)勇払原野で茂った」を示す「ゆうしげ」と名付けた。母子で育てた甘い果実を産む苗木は、町に広がっていった。

 町などによると、農家約400戸軒のうち104戸でハスカップを栽培。今年は18トンを出荷した。作付け面積は15年から日本一になった。

 今回の地震では、多くの畑で地割れや土砂崩れが発生。ハスカップは出荷できるまで3~4年、1本当たり1キロ以上収穫できる「成木」になるまで、少なくとも5年はかかるとされ、元に戻すには容易ではない。被害を受けた高齢農家が廃業する可能性もある。

 今回の地震により「震度7」の町として知られてしまった厚真だが、山口さんは前を向く。「日本一の厚真のハスカップを全国の人に食べてもらえれば、農家も元気になる。PRして復興につなげたい」。【金子淳、酒井祥宏】

 【ことば】ハスカップ

 シベリア原産の低木で、初夏に1、2センチの紫の甘酸っぱい味の実を付ける。語源はアイヌ語の「ハシカプ」(枝の上にたくさんなるもの)。北海道の厚真町や苫小牧市周辺の原野に群生していたが、開発に伴い自生が急減し、栽培が始まった。

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