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将棋「編入組」の瀬川五段(その1) 遠回りして強くなる

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 台風21号が日本列島に大きな爪痕を残して過ぎ去った5日朝。そこだけ別世界のように静寂が支配する将棋会館(東京都渋谷区)の一室に、目を閉じて対局開始を待つ棋士がいた。瀬川晶司(しょうじ)五段(48)。2005年に戦後初めて、棋士の養成機関「奨励会」とは違う道からプロ入りを果たした元サラリーマンだ。

 将棋盤を挟んで向かい合う今泉健司四段(45)も、介護職員から「奨励会ではない道」を経て15年にプロになった棋士だ。「瀬川さんがいなければ、今の私はなかった」と言い切る。

 将棋界では四段以上がプロ。奨励会に入るのも狭き門だが、三段リーグの死闘を勝ち抜けるのは毎年4人程度、しかも「26歳で奨励会退会」という過酷なおきてがある。一度は夢破れた瀬川さんだが、アマチュアながらプロの大物を倒すほどの実力を武器に世論と将棋界を動かし、再起を懸けたプロ編入試験を突破した。こうしたケースは現役棋士163人中、瀬川さんと今泉さんしかいない。

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