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今週の本棚

湯川豊・評 『変わったタイプ』=トム・ハンクス著、小川高義・訳

 (新潮クレスト・ブックス・2592円)

思い切った話し言葉できれいに語る

 そう、あのトム・ハンクスである。アカデミー賞主演男優賞二度受賞した俳優の最初の短篇集で全十七篇。原著が出版されたのは去年の秋、著者は六十一歳になっていた。

 ためしに、という感じで冒頭の「へとへとの三週間」を読む。

 「僕」が、アンナという若い女性に翻弄(ほんろう)されるのを語る。一種の風俗小説で、面白い。アンナは、精神的にも身体的にもエネルギーがあふれていて、暇さえあれば、走り、潜り、壁の岩登りまでする。ぐうたらの恋人である僕にもそれを強いて、僕は風邪をひいたりなどするが、許されない。夜だって、ふふふと笑いながら、僕の力を試しにくる。

 それでいて、僕のアフリカ系の友人がアメリカ市民になる儀式に大感激し、「あたし……この国が好き」と泣きだす。なるほど、アンナこそアメリカだ。最後は、へとへとの僕を叱咤(しった)し、僕の友人二人を巻き込んで、南極の冒険旅行に出かけるところで、幕。あれよあれよという間に話が進み、話が閉じる。語り上手の快作である。

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