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社説

視点・自民党 人口減少の社会 政策の不在が生む不安=論説委員・野沢和弘

 アベノミクスで企業の収益や株価が上がり、雇用もよくなったと安倍晋三首相は胸を張る。

     7月現在の就業者数は6660万人で前年同期より97万人も多い。67カ月連続の増加だ。

     しかし、国民の生活実感とはかけ離れているのではないか。連合の調査では暮らしに関する将来不安を8割の人が感じており、消費を控えて貯蓄に回しているという人が多い。

     一つには、雇用が改善されているとはいえ、賃金の低い医療・福祉や飲食業などのサービス業で働く人が増えていることが挙げられる。生活必需品の物価が上がっている分、実質賃金はほとんど伸びていない。

     もっと本質的な原因は、人口減少と高齢化の進展だ。

     医療や介護などの社会保障費は現在約120兆円だが、2040年度には190兆円に達する。一方、現役世代は加速度的に減る。財源と働き手をどうやって確保するのか、長期的視点に立った政策はほとんどない。

     国があてにできないのなら自分で将来に備えるしかない。個人の預貯金ばかりが膨らんでいるのはそのためだ。しかし、何歳まで自分が生きるのか、将来の経済がどうなるのかがわからない以上、どれだけお金をためても不安は消えないだろう。

     やはり、社会保障の持続可能性を高め、国民に安心をもたらさなければいけない。若い世代を支援し活力ある社会の到来を実感できるようにすべきだ。

     安倍首相は待機児童の解消などには取り組んでいるが、現実に進んでいる人口減少への対策は皆無に等しい。

     人口減少の影響は社会保障だけでなく、地方の衰退、上下水道や道路などインフラの老朽化、空き家・空き店舗、耕作放棄地の増大、承継者不足による中小企業の黒字倒産の続出など、さまざまな分野に波及する。

     あらゆる省庁を束ねた包括的な対策を講じる必要がある。首相官邸に権限を集中させた「1強」状態の優位性を生かせる場面ではないのか。

     石破茂氏は「社会保障国民会議」の設置や地方創生を公約に掲げるが、部分的な対策であり、具体性にも欠ける。

     負担増を伴う不人気政策を真正面から論じることが、国民の不安の解消につながる道だ。

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