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社説

視点・自民党 若者と安倍政治 主権者教育はどこへ行く=専門編集委員・与良正男

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 第1次政権以来、安倍晋三首相が18歳選挙権の実現に終始、積極的だったのは間違いない。

     従来、「自民党は若者に人気がない。選挙年齢を引き下げても得はない」という声が党内で大勢だったが、自分は若者の支持が高いと首相は考えているのだろう。インターネットを重視し、ネット番組に好んで出演するのはその表れだと思う。

     実際、9月初めの毎日新聞世論調査では、安倍内閣の支持率は全体で37%(不支持41%)だったが、世代別に見ると18歳から30代までは支持率が4~6割程度あり、不支持を大きく上回っている。今回に限らず不支持の人は50代以上に多いのが安倍政権の大きな特徴である。

     先の大戦は遠くなり、首相が進めた安保法制などに対して若い世代の抵抗感は少ないのだろう。だが「だから若者は右傾化している」と見るのは早計だ。

     政権評価の理由を聞くと多くの若者は「しばらく前に比べて就職しやすくなった」と言う。若い世代にはリベラル派の方が年長者の既得権を守ろうとする保守派で、首相は改革派と映っているとの指摘もある。

     今、企業が採用で重んじているのは「コミュニケーション能力」だそうだ。他人とうまく意思疎通ができるといった意味のようだが、これを上司に意見を言ったり、仲間と激しい議論をしたりしないことだと勘違いしている人が多いという。実は権力者に都合のいい傾向が広がっているのかもしれない。

     文部科学省が発表した高校学習指導要領改定案によると、今後、討論や自らの意見発表を重視する「アクティブ・ラーニング」をさらに推進するという。

     既に「今の政治」を学ぶ主権者教育も始まっている。異論に耳を傾け、とことん議論して極力一致点を見いだすのが民主政治の基本であり、それを学ぶのが主権者教育であるはずだ。

     ところが改定案が一方で掲げるのは道徳教育の充実だ。首相らが進めたいのはこちらではないか。戦前の価値観の押しつけに逆戻りしないか心配になる。

     教育費の負担軽減は緊急の課題だ。しかし、そもそも未来に向けた教育はどうあるべきなのか--。首相と石破茂氏が争う総裁選で、そんな議論がほとんどないのが残念でならない。

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