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便潜血検査

「大腸がんキット」市販化 専門家、なぜ懸念

厚生労働省=東京・霞が関で2015年、竹内紀臣撮影

 大腸がん検診に使われている便潜血検査キットを薬局などで買えるようにしようとする厚生労働省の動きに対し、省内でがん対策を所管する部署や、がん対策の専門家から懸念の声が上がっている。一般の人が自分でがんの可能性を判定することで、がん検診の精度が適切に管理されなくなるなどの恐れがあるという。

 便潜血検査はがんなどによる出血が便に混じっていないかを調べる検査。便をぬぐって、2日分を採取した後、溶液に浸した状態で提出し、検査会社が専用機器を使って分析する。その結果、異常が見つかれば大腸内視鏡での精密検査を勧められる。がん死亡率を減らす根拠がある有効ながん検診として、自治体が実施する対策型検診に推奨されている。

 この検査キットを市販できるようにする手続きが昨年4月に始まった。検査薬メーカーでつくる日本臨床検査薬協会が指針案を同省に提出。今年6月、同省審議会の医療機器・体外診断薬部会で大筋が了承され、8月まで意見募集が行われた。

 指針案によると、便採取後の溶液を反応容器につけ、印が表示されるかどうかを利用者が見て、異常の有無を判断する。指針が決定されれば、各メーカーはキット市販に向けた承認申請ができる。

 担当の同省医療機器審査管理課は「自分で簡単にできる検査で、大腸がん検診を受けていない人にも機会が広がり、検診受診者の増加が期待できる」と説明する。だが、がん対策を担当する同省がん・疾病対策課は「誰が受けて、どれくらい精密検査につながり、がんと診断されたかという精度管理がまったくできない。国が推奨する対策型検診と違う」と難色を示す。

 今月開かれた日本がん検診・診断学会でも懸念する声が上がった。会場で質問を受けた斎藤博・青森県立中央病院医療顧問(がん検診)は「審査を受けた機器による測定と違い、目視による判定は陽性が出る割合が高く、信頼性が低い。また利用者が直接検査をすれば、陰性が出るまで何回も検査して受診機会を失うなどの混乱が起きる」と話した。

 医療用検査薬の一般用への転用は政府の規制緩和策を受けて活発化している。便潜血検査キットの指針が認められれば、排卵日を予測する黄体形成ホルモンキットに次いで2例目。【高野聡】

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