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余録

後世書かれた戯曲で大きな鼻の熱血漢とされた…

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 後世書かれた戯曲で大きな鼻の熱血漢とされたシラノ・ド・ベルジュラックは17世紀の文人である。だから月世界旅行の物語を書くにあたって、人を月へと運ぶ策に想像力の限りを尽くさねばならなかった▲まず作中の「私」は朝露を集めていくつものガラス瓶に入れ、体の回りにくくりつけた。太陽が露を引きつける力で空へ上がろうとしたのだが、失敗してしまう。露の上昇力が弱いからではなく、強すぎて方向を失ってしまったのだ▲結局、成功したのは火薬を仕込んだ矢の束を何段も重ねて、1段が燃え尽きたら次段に点火する仕掛けだった。そう、多段式ロケットで、朝露から一転、SF的な先見性を示した。さて、ならばこちらの月旅行計画の実現性はどうか▲世をアッといわせた日本人実業家、前沢友作(まえざわ・ゆうさく)氏の「私は月に行くことにした」である。米スペースX社の超巨大ロケットの全席を買い取り、5年後に何人かのアーティストらとともに民間で初めての月周回旅行をするというのである▲誰もが気になるのは文字通り天文学的な額になろう費用だが、そこは明かされていない。スペースX社にまだ有人飛行の実績はなく、技術開発、安全性確保など越えるべきハードルは多い。5年後の実現性に疑問が呈されるゆえんだ▲もともと世の耳目を引くプランを打ち上げて資金を呼び込む話題先行型の民間宇宙計画である。盛り上げた話が意外な上昇力を示すのか、露と消えるのか。シラノもびっくりの21世紀月旅行の朝露方式である。

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