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北海道地震

ブラックアウト 18分間に3度強制停電 需給バランス守れず

 経済産業省などは19日、今月6日未明の北海道地震発生から道内全域の大停電(ブラックアウト)に至るまでの18分間の北海道電力管内の周波数の推移などのデータを公表した。主力の火力発電所の停止で電力供給が大幅に落ちこみ、北電は3度にわたる強制的な停電で需要を抑え込もうとしたが、需給のバランスがとれずに周波数が急低下し、ブラックアウトに陥った経緯が明らかになった。経産省は複合的な要因が重なったとみて詳細を調べている。

     電力会社は電力の需要量と供給量がほぼ同じになるように調整することで、一定の周波数を保っている。周波数が大きく変動すると発電所などに負荷がかかり、大規模停電などを引き起こす恐れがあるためだ。

     経産省などが公表したデータによると、6日午前3時7分の地震発生直後に主力の苫東厚真火力発電所2号機(最大出力60万キロワット)と4号機(同70万キロワット)が緊急停止した。供給量が急激に減少したことで、通常時は50ヘルツで安定している周波数は急低下。その影響などで道内全域の風力発電や水力発電も連鎖的に停止した。1分足らずで、地震発生前の電力総需要310万キロワットの半分近い供給力が失われたとみられ、周波数は一時46・13ヘルツまで急落した。

     北電は、一部地区を強制的に停電する「負荷遮断」を実施して需要を減らしたほか、本州から約60万キロワットの電力の融通を受けるなど需給のバランスを図ったことで、一度は周波数が50ヘルツをほぼ回復し、危機は乗り越えられたかに見えた。

     しかし、ここから想定外の事態が発生する。停電しなかった地域では、地震で目を覚ました住民らが照明やテレビをつけるなどして需要が急伸し、再び周波数が低下し始めたため、北電は残存する火力発電の出力を上げて対応。3時20分ごろには、苫東厚真火力1号機(35万キロワット)の出力が低下し、再び急激に周波数が低下したため、2回目の負荷遮断を実施した。

     再度、周波数が持ち直したところに苫東厚真1号機が停止。3度目の負荷遮断も周波数の低下を止めることができず、他の3カ所の火力発電も連鎖的に停止したことで、3時25分にブラックアウトに至った。

     一連の負荷遮断などの対応は大半が自動的に行われており、経産省は「人為的な操作でトラブルが起きたとは思っていない」としている。【岡大介、袴田貴行】

    複合的要因の検証必要

    地震で停止した苫東厚真火力発電所=北海道厚真町で12日、本社機「希望」から梅村直承撮影

     経済産業省が19日公開した周波数などのデータからは、18分の間に需給バランスを取るための綱渡りの調整が行われたことが改めて確認された。ただ、最終的に周波数の低下を止められなかったのはなぜかなど疑問は残る。経産省の認可団体「電力広域的運営推進機関」は同日、第三者委員会を設立し、原因究明や再発防止策の策定に乗り出した。

     今回の公開データでは、地震直後に苫東厚真2、4号機だけでなく、震源から離れた設備も含めて数十万キロワット規模で水力や風力発電も停止していたことが新たに判明。北電は負荷遮断を実施するなどし、周波数がほぼ正常値に戻る場面も2回あった。

     しかし、苫東厚真1号機の停止に伴い、周波数が急低下した際は3度目の負荷遮断でも止めることができなかった。経産省は「(周波数低下のスピードに)負荷遮断が間に合わなかった可能性がある」(幹部)とみている。すでに相当程度供給量が減っていたうえ、2度の負荷遮断で需要も抑えられていたため、調整余地が限られていた可能性もある。また、北電は最大129万キロワットの供給が失われる想定で大規模停電を回避する準備をしていた。電力広域的運営推進機関によると、地震直前、苫東厚真の出力は2号機が56万キロワット、4号機は60万キロワット。風力や水力は計数十万キロワットとみられ、地震直後に失った供給力は想定を上回った可能性がある。経産省は「(負荷遮断などの)システムの備えや運用が適切だったか検証が必要」とみる。

     東京大学生産技術研究所の荻本和彦特任教授は「個別の電源の出力や需要、送電網の電圧の状況などが複雑に絡み合っており、より詳しいデータに基づいて予断なく検証することが必要だ」と指摘する。【和田憲二】


     ■ことば

    電気の周波数

     家庭用などで使われる「交流」の電気は大きさや向きが一定の規則で波打つように変化しており、1秒間に繰り返される波の回数を周波数と呼ぶ。電力需要に対して電力供給が多いと周波数は上昇し、少ないと下降する。需給バランスが崩れると周波数が乱れて電気機器に不具合が生じ、最悪の場合は大規模停電につながる。周波数は東日本50ヘルツ、西日本60ヘルツ。

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