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社説

27年ぶりの地価上昇 カネ余りの投機に警戒を

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 国土交通省が発表した7月1日時点の基準地価が、全国平均で27年ぶりの上昇に転じた。バブル後の土地デフレが、解消に近づいた格好だ。

     地価上昇は景気の好循環を示すものと評価できる。資産価値が上がることで企業の設備投資や家庭の消費を促す効果も期待できるだろう。

     しかし、地価の動向を子細に見ると、ゆがんだ現実も浮かんでくる。

     上昇率の全国1位は住宅地、商業地とも北海道倶知安(くっちゃん)町だった。ニセコリゾートに近く、外国人の別荘需要や訪日観光客の増加に伴う商業施設の需要が高まった。

     外資系高級ホテルの進出が相次ぐ京都市が商業地で2位になるなど、訪日客の増加が地価に大きな影響を与えている。

     訪日客頼みの地価上昇が、いつまで続くか、慎重に見守る必要があるだろう。

     大都市圏で、市街地再開発などで利便性が増した地域では、地価が上昇している。その一方で、都心部へのアクセスが悪い地域では下落が目立つ。投資資金がより多くの利益を求めて、選別を強めている結果といえそうだ。

     気がかりなのは、そうした不動産投資の過熱である。背景にあるのは、日銀の金融緩和政策によって、あり余った大量の資金だ。

     産業界の需要を超えて行き場を失った資金は、金融市場と並んで不動産市場へと流れ込む。しかも日銀は、2%の物価上昇目標を達成するまで、緩和を続ける構えだ。

     国交省は現在の地価を「現実の需要に支えられている」と説明する。しかし、東京・銀座の商業地の地価はバブル期の最高値を更新した。

     東京都心では2年後の五輪開催に向けてオフィスビルやホテルの大量供給が予定され、一段の地価上昇も予想される。

     もっとも、五輪後には需要の減少によって、オフィスやホテルが供給過剰になる恐れがある。来年10月の消費増税後には、個人の住宅投資も増税前の駆け込み需要の反動で減少に転じる可能性がある。不動産市場は一気に冷え込みかねない。

     不動産バブル崩壊のいつか来た道を再びたどることがあってはならない。そのためには、カネ余りによる投機を警戒していく必要がある。

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