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社説

安倍氏が自民総裁に3選 独善的な姿勢から決別を

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 自民党員の中にも批判や不満が根強いことを如実に示す結果だった。

     安倍晋三首相が自民党総裁に3選された。総裁任期は3年。これにより安倍政権は2021年秋まで続き、首相の在任期間は第1次内閣と合わせ、戦前・戦後通じて最長の約10年となる可能性が出てきた。確かにこの結果は大きな意味を持つ。

     しかし、首相は国会議員票では圧倒したものの、党員・党友の得票は、現職首相という有利な立場であるにもかかわらず55%にとどまった。

     党員票は国民全体の世論により近いと見られる。今回は世論と議員意識の間に大きな落差があることが明白になった結果とも言える。

     それでも首相は当選後の記者会見で「全体で7割近い票を得た」と胸を張り、勝ったのだから全てが理解されたといった口ぶりだった。本当にそう考えているとすれば、認識は甘いというほかない。

    本質突いた「正直、公正」

     党員らにはやはり首相本人の姿勢や手法に対する不満が大きかったと思われる。石破茂氏の得票が予想を上回ったのは「正直、公正」のキャッチフレーズが首相の本質的な弱点や欠点を突いていたからだろう。

     財務省が公文書の改ざんにまで手を染めた森友問題では、首相は総裁選でも「財務省の調査報告書を読めば、私や妻(昭恵氏)が土地の安値売却に関与していなかったことは明白だ」との説明に終始した。

     だが報告書は、なぜ昭恵氏らに関する記述が文書から削除されたかの根幹部分は明らかにしていない。首相の説明は今も説得力がない。

     加計問題では、長年の友人であろうと加計学園理事長は利害関係者であり、再三ゴルフを共にするのは問題ではないかと指摘されると、首相は「ゴルフではなく、テニスや将棋ならいいのか」とおよそ的外れで子供じみた反論をまくし立てた。不信解消どころか、あきれた人の方が多かったはずだ。

     言うまでもなく、あと3年、首相を続けるためには、まず来年夏の参院選をクリアする必要がある。

     現実には、党員以上に全体の世論は厳しい。直近の毎日新聞世論調査でも安倍内閣の支持率は依然3割台で不支持が上回っている。

     今回の党員票結果により、自民党には来夏の参院選を不安視する声が強まるのは確実だ。首相を取り巻く状況は変化し、従来のような独善的な姿勢は、もはや通用しないと見るべきだ。

     党員の不満が強いのは、地方を中心に景気回復の実感が乏しいからでもある。アベノミクスは大企業や都市部優先で「地方は切り捨てられている」と感じる人も少なくない。そうした党員らが、地方重視を訴えた石破氏支持に回ったと見られる。

    9条改憲は緊急課題か

     安倍首相も「今回が最後」と明言して臨んだ総裁選だ。これまでのように「アベノミクスはまだ道半ば」と繰り返しているだけでは済まないとは考えているようだ。

     デフレ脱却のため強力に推進した日銀の「異次元の金融緩和」について、任期中に大規模緩和策を転換するための出口戦略を探る考えを示したのはその表れだろう。

     しかし、雇用や税収の増加など都合のいい数字を並べて自賛する首相の姿勢は結局、変わらなかった。不都合な事実から目をそむけていては決して次にはつながらない。

     何より今後、正面から向き合うべきは人口減少問題だ。長期的視点に立った包括的な対策を早急に打ち出す必要がある。

     外交も同じだ。ロシアとの北方領土問題や北朝鮮の拉致問題など、もはや「懸命に取り組んでいる」という雰囲気を醸し出すだけでは済まない。結果が求められる時期に入る。

     そんな中で首相は自衛隊を明記する憲法改正の自民党案を今秋の臨時国会に提出したいと言う。

     任期中に何としてでも改憲を実現させたいのだろう。ただし、それは本当に国民が求めている緊急課題だろうか。改憲議論の必要性は認めるが、自衛隊を明記すれば経済は上向き、人口減少問題が解消するわけではない。イデオロギー色が強い自らの願望を優先して突き進む姿勢には賛成できない。

     首相は「ポスト平成」への橋渡し役という重い責務を担う。まず政治への信頼を取り戻すことだ。その課題は、議論も乏しいまま圧倒的多数で首相を3選した自民党国会議員全てに問われている。

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