連載

モリシの熊本通信

毎日新聞デジタルの「モリシの熊本通信」ページです。最新のニュース、記事をまとめています。

連載一覧

モリシの熊本通信

見直したいラジオの強み /佐賀

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷

 6日、北海道胆振(いぶり)地方を震源とする、最大震度7の地震が発生した。41人の命が奪われ、けが人も692人にのぼった。そしてこの原稿を執筆している20日時点でも、約900人が避難生活を送る。

 札幌市清田区の住宅地では、液状化が原因とみられる大規模な陥没などが発生した。一方、各地の避難所では、揺れの恐怖や慣れない生活から、子供がストレス症状を訴えるケースが相次いだ。

 これらは熊本地震でもみられたものだ。テレビを見ていると、当時の記憶がよみがえる。大きな地震が発生した場合、起きうる事象なのだろう。すなわち、日本全体として備えることが可能な問題ともいえる。

 一方、今回の北海道地震では、熊本地震とは異なる問題も発生した。その一つが、地震によって発生した、道内全域の大停電(ブラックアウト)だ。

 同市中央区在住の会社員男性(32)によると、同区は震度4だったものの、停電が発生。テレビは使用できず、情報収集はスマートフォンに頼るしかなかった。しかし、バッテリーの消費が怖くて、じっくりニュースを見ることができない。情報が得られない不安は、想像以上に大きかった。

 電気の復旧は段階的に行われたようで、近所の通電したカフェには、大勢の人が充電目的で押し寄せていたという。筆者の取材に男性はこう振り返った。「非常時に人間が求めるのは情報。しかし、電気が使えないと情報が得られない。これは現代社会の脆(もろ)い部分でもあると気づいた」

 こうした時、重宝するのがラジオだ。筆者は熊本地震で車中泊や避難所生活を経験したが、たまたま自宅にあったラジオを持参したところ、大活躍した。

 余震が起こるたびに各地の震度が流れ、国や自治体の動きも教えてくれる。避難所情報も大いに参考になった。情報に触れられることへの安心感は、想像以上に大きいのだ。

 筆者所有のラジオは、電池が長持ちするため、予備の電池もあれば当分の間困らない。また、最近は手回しで充電できるラジオも販売されている。備えあれば憂いなし。今こそラジオの強みを認識し、1世帯に1台、準備してみてはいかがだろうか。


 ■人物略歴

田中森士(たなか・しんじ)

 マーケティング会社「クマベイス」(熊本市)代表取締役、ライター。熊本県立高常勤講師、全国紙記者を経て古里の熊本市で起業した。熊本地震後は、復興支援活動に携わりながら、執筆やイベントを通し、被災地の現状を伝えている。モリシは愛称。熊本市南区在住。

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

ニュース特集