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余録

竹筒に流水を注いで音を立て、庭園の風流を演出する…

 竹筒に流水を注いで音を立て、庭園の風流を演出する「ししおどし」である。もとは秋のみのりから鳥獣を追い払う仕掛けだったのだろうが、この「しし」、シカやイノシシなどの獣一般を指す言葉という▲日本国語大辞典によると、もともと「しし」は獣肉のことであった。シカの肉は「かのしし」、イノシシの肉は「ゐのしし」と呼ばれたのが、やがて動物そのものを指すようになる。イノシシはその事情を今日に伝える獣名なのである▲シカやイノシシから作物を守ろうとした昔の人の努力は生半可(なまはんか)ではない。鹿垣、猪垣などと書く「ししがき」は田畑への獣の侵入を防ぐ石垣や土手、木や竹で編んだ垣だ。歳時記には「数十キロに及ぶものもあった」とあるからすごい▲里山の荒廃などで獣害が改めて注目される今日だが、こちらの電気柵の設置は農作物のためではない。岐阜市で確認された野生のイノシシの豚(とん)コレラ感染を受け、岐阜県は養豚場などへのイノシシの侵入を防ぐ電気柵の貸与を始めた▲市内の養豚場で広がった感染を封じ込めたと思ったら、相次いで見つかった野生イノシシの感染だ。ウイルスは養豚場のと同型で、国内では過去にないタイプという。県内のイノシシは2万数千頭と推定され、感染拡大が心配である▲<猪垣の崩れかけたる空青し 林(はやし)徹(てつ)>。葉も色づき始めた静かな山村の情景が浮かぶが、今は「崩れかけ」の一言が心を落ち着かなくする。イノシシには罪はないが、防疫の垣には穴のなきよう心してほしい。

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