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いのちのほとりで

ニッポンは今、高齢化社会を通り過ぎ、お年寄りが同じ時期に一斉に亡くなる「多死社会」を迎えています。どう「死」と向き合えばいいのか、思い悩む人も多いことでしょう。引き取り手のない遺骨、葬送にかかわる人々を、ベテラン記者が現場を歩いて報告します。

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/6 ボランティアもチームの一員 多職種で支えるホスピス 

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カンファレンスで看護師の報告に聞き入る嘉藤医師=秋田市の外旭川病院ホスピス病棟で、滝野隆浩撮影
カンファレンスで看護師の報告に聞き入る嘉藤医師=秋田市の外旭川病院ホスピス病棟で、滝野隆浩撮影

 秋田市の外旭川病院ホスピス病棟(34床)に、2年前から足を運んできた。秋田県内で初めてできたホスピス緩和ケア施設。嘉藤茂ホスピス長(62)ら医療スタッフが、終末期の患者とどう向き合っているか知りたかった。毎日2度のカンファレンスや回診、家族面談や入所に際しての相談まで。主な業務を許可を得て見せてもらった。

 取材でつくづく感じたのは、死を身近に感じている患者と向き合うことの困難さである。完治を信じてさまざまな治療を受けた末に、患者は失望し傷ついて、ホスピスに入ってくる。その「負の感情」をそのまま受け入れ、より良い最期を支えるのである。新聞の本編では、スタッフのそうした姿勢を「誠実さ」と書いた。病気を「治す」のが目的の一般病院で、医療者は患者の治癒、回復といった目標があり、それを達成したときの喜びがあ…

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