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余録

健康誌だった「新潮45+」が…

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 健康誌だった「新潮45+」が「+」を取って全面刷新したのは発刊3年後だ。指揮をとったのは新潮社の「怪物」といわれた伝説的編集者、斎藤十一(さいとう・じゅういち)である。「自分の読みたい雑誌を作れ」が最初の指示だった▲斎藤伝説の一つが「貴作拝見 没(ボツ)」との五味康祐(ごみ・やすすけ)への手紙だ。坂口安吾(さかぐち・あんご)や佐藤春夫(さとう・はるお)ら大作家の原稿も平気で没にしたという。その一方で、瀬戸内寂聴(せとうち・じゃくちょう)、山崎豊子(やまさき・とよこ)、吉村昭(よしむら・あきら)ら戦後文壇を代表する多くの才能を鍛え上げ、世に送り出した▲文芸の目利(めき)きはまた、人間一皮むけば金と色と権力という俗物主義を「週刊新潮」の軸にすえた新潮ジャーナリズムの始祖である。「おまえら人殺しのツラが見たくないのか」は写真週刊誌「フォーカス」創刊時の言葉と伝えられる▲斎藤が没してから18年、この剛腕が生んだ聖俗二つの路線の分裂かと驚かせる騒動である。性的少数者への差別的寄稿を擁護する特集を組んだ「新潮45」に、社内の文芸部門でも批判の声があがり、社長が見解を公表する事態となった▲「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現」。それが特集の一部に見受けられたとの佐藤隆信(さとう・たかのぶ)社長のコメントである。特集には性的少数者を痴漢になぞらえる寄稿があり、新潮社と接点のある作家からも批判が出ていた▲「人間は品格だ」。これは何と「新潮45」刷新当時に斎藤が力説した言葉だという。老舗出版社の“分裂”の背景には出版界の厳しい現状があろう。晩年の斎藤は言った。「俗物にもピンからキリまである」

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