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社説

中国がバチカンと和解 宗教政策見直しの機会に

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 中国が12億人のカトリック教徒を束ねるバチカンとの歴史的和解に動いた。対立していた司教の任命権問題でバチカンと暫定合意に達した。

 中国のカトリック教会は長く政府公認の教会とローマ法王に忠誠を誓う地下教会に分裂してきた。抑圧されてきた地下教会が合意で実際に救済されるかが今後の焦点になる。

 元々、無神論の共産党政権とバチカンは敵対関係にあった。バチカンは1949年に成立した中華人民共和国を承認せず、51年にバチカン公使が追放されて関係が断絶した。

 中国は独自のカトリック組織「中国天主教愛国会」を作って教区責任者の司教を任命し、これを容認しないバチカンとの対立が続いてきた。

 中国政府はカトリック信者を約600万人と発表しているが、ほぼ同数の地下教会信者がいるとされ、総数は約1200万人ともいわれる。

 約100人の司教のうち6割は中国と法王双方、3割は法王だけが認めている。法王は合意を受け、中国だけが認める司教7人を承認した。

 これで中国の司教すべてが法王の権威で任命されたことになる。バチカンにとっては愛国会、地下教会双方の信仰を束ねる意味を持つ。

 中国は法治徹底を名目に宗教の国家管理を強化している。愛国会と地下教会を一体化させ、非公認の組織をなくした方が管理しやすいと考えているのではないか。

 バチカンは欧州で唯一、台湾と外交関係を持つ。バチカンとの国交正常化を視野に台湾への外交的圧力を強める狙いもあるだろう。

 ただ、中国がバチカンとの合意をお墨付きに公認組織だけの「宗教の自由」を認めるなら本末転倒だ。

 近年、信者が急増したプロテスタントの地下教会がたびたび未登録を理由に摘発されている。国連機関はイスラム教徒の多いウイグル族への組織的弾圧を懸念する報告を公表した。インド亡命中のダライ・ラマを慕うチベット族への人権侵害も常に問題視されている。

 中国社会は経済発展で複雑化している。心の安らぎを求める人々が信仰を選ぶのは自然だ。宗教に不寛容な姿勢は「中国異質論」にもつながっている。バチカンとの合意を機に宗教政策の見直しに踏み切る方が社会の安定にも資するのではないか。

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