日本で開発された果物の種子や苗が無断で国外に流れ、生産されるケースが後を絶たない。かつては、それらが日本に逆輸入され、国内農業に与える影響が懸念されたが、近年は海外で生産されること自体が脅威だ。農産物の輸出拡大をめざす日本にとって、輸出の機会損失となるからだ。
日本の品種をもとに開発された韓国産イチゴの東南アジアへの輸出はその一例だ。日本の農産物・食品の輸出額の7割はアジア向けである。農林水産省は海外での品種登録を支援する事業を2016年から始めた。
種を知的財産として保護する動きは、国内でも進んでいる。登録品種の自家増殖の規制はこれにあたる。新しく開発された品種が登録品種として認められると、種苗や収穫物、販売等において育成者権を行使できる。かつては、農家が次の作付けのため、慣行的に自ら種を殖やす自家増殖が認められていた。農水省も「慣行的な自家増殖は原則として自由」の立場だったが、1998年に植物の新品種の保護に関する国際条約(UPOV91年…
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