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<2018 世界子ども救援キャンペーン>
「このひどい傷を見てやってくれ」。イラク・東モスルの住宅街。親族に促され、アリ・ヤヒア・アブドラ君(15)はTシャツを脱いだ。右の上腕部をほぼ一周する赤く太い縫い痕が、いびつな模様を描く。「触ると鈍い痛みが骨に響くんだ」。そう話すアリ君には表情がなかった。
過激派組織「イスラム国」(IS)の支配下にあった西モスル旧市街で家族で暮らしていた。「ダーイシュ(ISの別称)が近所にたくさんいた」。2017年5月の夕方、近所の家に水や食料を分けてもらおうと、兄クサマさん(当時25歳)と歩いていたアリ君の近くに砲弾が落ちた。意識が飛んだ。
病院に運ばれ、腕の切断も検討されたが、指がかすかに動くのに医師が気付き、免れた。手術後、麻酔が切れてベッドで目を覚ました。「腕が動かない。なぜ」。恐怖と悲しみが一気に押し寄せた。クサマさんは心臓を砲弾の破片が貫き、即死だった。
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