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大道芸人

ギリヤークさん 50周年の新作、来月披露

俳優の近藤正臣さんから譲り受けた刀のつばを手に、新作「果たし合い」の練習をするギリヤーク尼ケ崎さん=東京都世田谷区で9月、玉城達郎撮影

 今年10月に街頭デビュー50周年を迎える大道芸人、ギリヤーク尼ケ崎さん(88)が10月の東京・新宿公演で披露する新作の舞「果たし合い」の練習に励んでいる。新作には50年近く懇意にしている俳優の近藤正臣さん(76)から譲り受けた刀のつばを使う。ギリヤークさんは「この踊りは、一人称のチャンバラ。日本人が失いかけた郷愁を表現する」と意気込む。

 ギリヤークさんと近藤さんの出会いは1970年にさかのぼる。新宿の歩行者天国で熱演するギリヤークさんを近藤さんがたまたま見かけたのがきっかけだった。

 国内外を問わず、しばしばゲリラライブのように踊っていたギリヤークさん。路上を縦横無尽に跳びはねる舞をしていると、警察にストップをかけられた。その様子を見た近藤さんが「歩行者天国だから自由だろ」と警官に抗議し、一緒に交番まで行ったことで2人の交流が始まった。

 ギリヤークさんが都内の近藤さんの自宅に呼ばれたある日のこと、近藤さんがアンティークとして持っていた二つの刀のつばが目に留まった。「近藤さん、これ、貸してください。作品を作るから」。その後、作品作りは前に進まず、刀のつばは数十年間、ギリヤークさんの自宅の引き出しで眠っていた。

 転機となったのは今年5月。2人は十数年ぶりに都内で再会を果たした。ギリヤークさんは、刀のつばを使った新作の構想を語った。ただ、ギリヤークさんはパーキンソン病で手足が震え、背骨が曲がる「脊柱(せきちゅう)管狭さく症」なども患い、体は自由が利かない。それでも近藤さんはギリヤークさんの「精神は衰えていない」と感じたという。

 「果たし合い」は5分強の演目だ。ギリヤークさんがあこがれる宮本武蔵の剣術をイメージしながら、自身の初期の代表作の一つである「念力」の音楽に乗せて演じる。8月の北海道公演で「試演」し、10月8日に新宿三井ビル「55ひろば」で披露する。この新宿の公演は78年から毎年欠かすことなく続けており、芸人生命をかける場でもある。

十数年ぶりに再会し、刀のつばを手にポーズを取るギリヤーク尼ケ崎さんと俳優の近藤正臣さん(右)=東京都内で5月、写真家の紀あささん撮影

 5月の再会後、近藤さんは直筆メッセージをギリヤークさんに送った。

 とてもきびしい道でしたね あなたの人生は、芸能者の原点をつらぬいた立派な生きかたです 大道芸人ギリヤーク尼ケ崎 五十年おめでとう そしてありがとう

 近藤さんは毎日新聞の取材に「(ギリヤークさんは)昔のように動き回って、跳び回ってということはできないが、心で演じる新作だと思っている。どんな舞になるか見たい」と語った。

 ギリヤークさんは68年10月、38歳の時に初めて東京・銀座の路上で舞った。70年代半ばからはフランスや米国など海外にも活動の場を広げ、現地でも大きく報道された。観衆の「投げ銭」を糧に生きるまれな芸風から「最後の大道芸人」とも称される。「観客も夢を持って見に来てくれる。この50年で体はボロボロになったけど、第一人者の誇りを持って、精魂込めて踊らせていただきます」とギリヤークさんは話している。【後藤豪】

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