連載

平成という時代

平成最後の年を迎えた。平成は、グローバル化やインターネットの普及を背景に社会が大きく変化し、価値観の多様化が進んだ時代だった。さまざまな変化を追うとともに、その先にある次代をどう描いていくべきか考えたい。

連載一覧

平成という時代

第2部 この場所/3 大阪・コリアタウン 差別、親しみ…社会の鏡 「在日の台所」文化発信の起点に

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
若者らでにぎわうコリアタウンを歩く洪貞淑さん。街の移り変わりを見てきた=大阪市生野区で、小松雄介撮影
若者らでにぎわうコリアタウンを歩く洪貞淑さん。街の移り変わりを見てきた=大阪市生野区で、小松雄介撮影

友好ムード「韓流」生む

 「百済」の文字が刻まれた朝鮮半島風のアーチをくぐると、細い通りはたくさんの人でごった返していた。大阪市生野区のコリアタウン。通りの両側にはキムチや韓国料理の店、韓流ショップなどが並ぶ。約120ある店の経営者の多くを在日コリアンが占める。

 カフェ「流れる千年」もその一つ。韓国の伝統茶と本格的な料理を味わえる店は、日本人の女性客を中心に人気だ。経営する在日3世の洪貞淑(ホンジョンスク)さん(56)が実感を込めて言う。「今はどこの国かを理由に避ける時代じゃない。『おいしい』『きれい』。そんな五感で素直に楽しんでくれる」

 4人に1人が朝鮮半島にルーツを持つとされる生野区。その象徴であるコリアタウンは、社会の空気を映し出してきた。洪さんの幼少期は「在日の台所」。その裏返しとして根強い差別があり、日本人からは敬遠された。在日が一般企業に就職することは難しく、洪さんも短大卒業後2年ほどして父が営む韓国食品の販売会社で働き始めた。会社の規模は小さく、事務所は6畳。「主な顧客は同胞の乾物屋。仕事を見つけるのに必死だった」と…

この記事は有料記事です。

残り1900文字(全文2371文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集