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社説

総合雑誌「新潮45」の休刊 安易な「偏向商法」のつけ

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 性的少数者(LGBTなど)への差別的な表現が批判されていた月刊誌「新潮45」を休刊すると、発行元の新潮社が発表した。

 LGBTを「生産性がない」とした自民党の杉田水脈(みお)衆院議員の寄稿が批判を浴びたことに反論する特集の内容を問題視したという。

 最も問題になったのは、文芸評論家の小川栄太郎氏の論文である。LGBTを「ふざけた概念」と言ったうえで、LGBTと痴漢を同列にするような非常識な表現があった。

 佐藤隆信社長は「常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現」があったと認めたが謝罪はせず、批判がおさまらずに休刊に追い込まれた。

 新潮社は「部数低迷に直面し、試行錯誤の過程で編集上の無理が生じた」と説明し謝罪した。だが、ヘイト(差別)的な記事がどういう経過で掲載され、どんな狙いで特集が企画されたかは明らかではない。

 新潮社の本を店頭に置かない書店や、執筆の取りやめを表明する作家が出るなど批判が広がっていた。

 経営的なダメージを最小化しようとして休刊を急いだのであれば、ジャーナリズムとして疑問が残る。

 出版社などの雑誌ジャーナリズムは、人間や社会の本音を描き、議論を巻き起こすことが強みだ。行儀の良さではなく、過激な表現で醜悪さを報じることもある。しかし、今回はその度を越していた。

 背景には、出版市場の低迷がある。全国出版協会によると、昨年は前年比6・9%減少で、なかでも雑誌は10・8%減という。同誌の発行部数も最盛期の10万部から最近は平均1万6800部にとどまっていた。

 一方でネット言論が台頭し、右傾化した言説や論客が保守系メディアにもてはやされるようになった。同誌にもここ数年、保守系・反リベラルの論者が多く登場している。

 だが、出版メディアがネット媒体と違うのは、さまざまな情報をフィルターにかけ、品質をきちんと管理する編集機能が存在することだ。

 同誌は、極端な意見を掲載することで、一部の極端な読者層を取り込もうとする「偏向商法」だったと言われても仕方ないだろう。

 新潮社は掲載に至る経過を検証し、明らかにすべきだ。でなければ読者の信頼も回復できまい。

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