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くらしナビ・気象・防災

最新成果「地域防災Web」で 手法・情報を一元管理

地域防災Webで閲覧できる情報例

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フェーズドアレイレーダーが捉えた雨雲(手前左は大阪湾)=首都大学東京の牛尾知雄教授提供
大阪大吹田キャンパスのフェーズドアレイレーダー=首都大学東京の牛尾知雄教授提供

 防災に役立つ最新の研究成果が出ても、実際の地域防災に生かすのはなかなか難しい。このギャップを解消しようと、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)は昨年から、研究成果を自治体などが使いやすい形で紹介するウェブサイト「地域防災Web」を運用している。6月の大阪北部地震では被災者の救助に役立つ場面も生まれ、各地の防災力向上に期待がかかる。

 ●高性能レーダー

 大阪大吹田キャンパス(大阪府吹田市)の9階建て研究棟の屋上に、高さ4メートルのドームで覆われた「フェーズドアレイレーダー」が設置されている。大阪府全域と近隣府県の一部を含む半径60キロをカバーする世界最高性能の気象レーダーだ。

 通常の気象レーダーが雨雲の動きを5~10分間隔で追跡するのに対し、阪大のレーダーは30秒ごとに追跡。ゲリラ豪雨をもたらすような突然の積乱雲を、発生の瞬間から消滅まで刻々と観測できるのが特長だ。

 レーダーを開発した牛尾知雄・首都大学東京教授(リモートセンシング)らは5年前から、大阪市福島区に観測情報を提供し、ゲリラ豪雨の発生予測を住民らに伝える実証実験を続けてきた。

 現在、同じレーダーは神戸市やつくば市など国内3カ所に増えたが、リアルタイムデータは一般公開されていない。

 閲覧には専用端末が必要だ。地域防災Webは、この成果を紹介することで、福島区のように利用を希望する自治体から手が挙がることを期待している。牛尾教授は「このレーダーを使えば、短時間かつ局所的に発生する集中豪雨や竜巻でも、数十分前には高精度で予測できる。防災に役立ててほしい」と話す。

 ●マニュアル参考

 大阪北部地震では、研究成果が実際に役立つ例があった。大阪府豊中市でマンションのエレベーターに小学生らが閉じ込められた際、マンションの住民たちが事前に救助マニュアルを作っていたおかげで、約15分後に救出できたのだ。

 マニュアル作りを指導した大阪府吹田市の防災士、口ノ町一男さん(69)が参考にしたのが、地域防災Webに紹介されていた加藤孝明・東京大准教授(地域安全システム学)が開発した地域防災に関するプログラム。行政任せではなく地域コミュニティーが自発的に防災を進める方法論や具体的な手段をまとめたものだ。

 口ノ町さんは、これまで府内の自治会やマンションの住民組織の防災活動を指導してきたが「何から手をつけていいのか分かっていない住民が多く、消火訓練だけで満足しているところもある」と感じていた。「プログラムのおかげで、危険箇所の把握や要支援者名簿の作成など防災マニュアル作りの重要性を伝えられた」と語る。

 ●チェックリスト

 地域防災Webには3月末時点で112の研究成果と、研究を防災に生かした101事例がまとめられている。

 その他、自治体や地区ごとに、河川や埋め立て地などの自然条件▽人口や財政力など社会特性▽災害の危険性▽過去の災害記録▽ハザードマップ--などの情報を掲載。「住民の意識啓発をどう進めればいいか」「具体的な計画やマニュアル策定が難しい」など80項目以上のチェックリストも設け、それぞれに役立つ研究や事例を紹介している。

 防災科研総合防災情報センターの三浦伸也主幹研究員は「国は地区の防災計画を住民自ら作るように推奨している。防災に関するさまざまな情報と手法が一元的に管理されており、防災の取り組みに悩んだらまずはこのサイトを見てみてほしい」と話している。

 地域防災Webのアドレスは「https://chiiki-bosai.jp」。【渡辺諒】

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