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<2018 世界子ども救援キャンペーン>
乾いた大地にオリーブ畑が広がる、イラク北部・ニナワ県のモスル北東約20キロのファズリヤ村。でこぼこの路地を子どもたちが自転車で走り回り、商店の軒下で涼むお年寄りが見守る。のどかな時が流れる山裾の村にも、過激派組織「イスラム国」(IS)は深い傷痕を残した。
「バシカに行ってくる」。2014年8月16日の午後。アイディン・イスマエル・ムハンマドさん(当時29歳)は妻に近くの街の名を伝え、愛車の青い2トントラックで自宅を出た。村や街はISの支配下にあった。一番上の長女イナスさん(12)ら5人きょうだいは父を待ったが、夜になっても戻らなかった。
日付が変わった頃、本人の携帯から親族に不審な電話があった。「アイディンを逮捕した」。クルド自治政府の治安部隊「ペシュメルガ」をかたる男はクルド語ではなくアラビア語で告げ、二度と電話に出なかった。
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