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特集「里親のカタチ」

10月は里親月間――虐待や親の病気などさまざまな理由で家庭で暮らせない子どもを、養子としてではなく、必要な期間だけ家庭に受け入れる「里親制度」。里親などへの子どもの委託率は約18%で、国際的に低い水準だが、国は2016年の児童福祉法改正に伴い「乳幼児75%以上」「学童期以降50%以上」に引き上げる目標を示した。里親家庭にはどういうものがあり、そこでどのような絆が育まれているのか。里親家庭のさまざまなカタチを取材した。

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特集「里親のカタチ」

里親になる意向あり6.3% 制度内容の周知、課題に

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今年行われた「よーしの日」イベントの様子
今年行われた「よーしの日」イベントの様子

日本財団「ハッピーゆりかごプロジェクト」展開

 日本財団(笹川陽平会長、東京都港区)は、生みの親と暮らすことができない子どもたちが少しでも多く家庭で育つことができるよう、里親制度や特別養子縁組の普及拡大を目指し「ハッピーゆりかごプロジェクト」を展開している。広報啓発や調査・研究、政策提言、研修、関係者のネットワーク構築など、活動は多彩だ。【岩崎日出雄】

 日本財団は1月、里親に関する意識調査結果を発表した。インターネットで全国の20~60代の男女1万人に予備調査を行い、このうち里親になる意向のある700人と意向のない800人に本調査を行った。

 調査結果によると、予備調査で6・3%が「里親になってみたい」「どちらかというと里親になってみたい」とし、里親になる意向を示した。同財団は、里親に多い30~60代の「夫婦のみの世帯」と「夫婦と子どものみの世帯」で経済的条件を満たす世帯が約1780万あることから、その6%にあたる106万世帯が潜在的な里親意向者になり得ると推定している。

 一方、制度内容については、「名前を聞いたことがある程度」が大半で、「里親には子どもの生活費として養育費が支給される」「2カ月などの短期間でもできる」「結婚していなくても、大人が2人以上住んでいればできる」などを知っている人はいずれも3%未満だった。「日本には里親を必要としている子どもが3万人いる」という基礎的な情報も約3%にしか知られていなかった。

 里親になる意向がある人に、なっていない理由を尋ねると、「経済的負担が心配」(約39%)、「責任が重い」(約34%)、「制度についてよく知らない」(約25%)が上位にあがった。

 また、調査を通じて制度に関する情報を知らせた後に里親への意向を再質問した結果からシミュレーションしたところ、6・3%だった「意向あり」が情報を知ることで12・1%に増える可能性があることも分かった。

政策を提言法改正も 同財団は里親制度や特別養子縁組に関するさまざまな調査・研究を続けている。結果をもとに政策提言を行うのが主眼で、学術会議の開催支援も行っている。2016年の児童福祉法改正に向けては、署名を集め、厚生労働省に陳情も行った。

フォスタリング機関育成

 厚労省の検討会が昨年発表した「新しい社会的養育ビジョン」は、里親のリクルートや研修、支援などを一貫して行う「フォスタリング機関」を2020年度までに全都道府県に整備することを掲げた。財団はこれを受けて今年度、フォスタリング機関を新設しようとする団体への助成を始めた。乳児院や児童養護施設の機能を高度化するのが主な狙いで、今年度は5府県の6団体が対象になった。

自治体職員などに研修

 里親育成のための研修も支援している。親と暮らせなくなった子どもの問題行動への対応法を体系的に学ぶ「フォスタリングチェンジ・プログラム」研修だ。里親への委託率の高い英国で開発され、里親のストレス軽減や里親と子どもの関係改善などに効果が高い。

 自治体や児童養護施設、NPOの職員など里親を支援する人が対象で、今年度まで5年間の受講者約100人が地元での里親研修に役立てている。

4月4日「よーしの日」

 一般向け広報啓発も行っている。9月3日にはシンポジウム「すべての子どもが愛されて育つために」を東京都内で開催し、塩崎恭久・前厚労相らの講演や専門家らによる討論会を行った。また、財団は4月4日を「よーしの日」とし、特別養子縁組普及のために毎年イベントを行っている。今年4月は、東京・渋谷のイベント会場で「家族ダイバーシティ――よーしの日キャンペーン」を開催。家族の多様性をテーマにしたトークショーやパフォーマンス、フォトスポット設置、ゲームなどを行った=写真。

官民協議の場を支援

 16年には、社会的養護の制度改善を目指す官民のメンバーを集めた「子どもの家庭養育推進官民協議会」が結成され、財団が事務局を担当。国への政策提言や研修、行事後援などを行い、今年度は、活動成果の一つとして「フォスタリングマーク」を制作・発表した。里親家庭と結ばれる子どもが増え、その家庭を支える社会の輪が広がっていくことを目指す里親普及のシンボルマークだ。


さまざまなイベント開催

 毎年10月の里親月間やその前後には、各都道府県やさまざまな自治体、里親支援団体などが里親制度を集中的にPRする。フォーラムや講演会、トークショー、パネル展、個別相談会など。里親の体験談や里親家庭の雰囲気に接する機会も多い。各地の主な関連行事は厚生労働省のホームページで。

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