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余録

1970年代のカンボジア内戦を取材した米紙ニューヨーク・タイムズ特派員には…

 1970年代のカンボジア内戦を取材した米紙ニューヨーク・タイムズ特派員には頼もしい相棒がいた。「祖国を救うにはこの惨状を世界に伝えるしかない」と信じるディス・プラン。独学で写真技術を習得し、危険な取材も物おじしない現地記者だ▲その活躍は実話に基づく映画「キリング・フィールド」に詳しいが、印象に残るのは、ポル・ポト派に拘束された特派員を救い出すシーン。残虐なクメール・ルージュを相手に巧みな交渉術で解放につなげた。タイムズ紙は後に「英雄」と称賛した▲ミャンマーで迫害を追及するロイター通信現地記者のワロン、チョーソウウー両氏も祖国を案じるジャーナリストだ。少数派イスラム教徒ロヒンギャを治安部隊が集団虐殺したという話を聞き、現場写真を入手すると、「ミャンマーの将来のため」と取材にのめり込む▲写真に写る実行者とおぼしき十数人の人定を急ぎ、1人が持つ銃の表示から部隊名を割り出した。「よし証拠を突きつけよう」。その矢先、2人は国家機密法違反容疑で逮捕され、今月、有罪判決が下された▲採用したロイターの支局長は2人の好奇心の旺盛さや気力の強さを買ったという。支局長の父も80年代の共産党独裁下で投獄された経験を持つポーランドの記者だった▲カンボジアもミャンマーも民主化が進むと期待されたが、言論への弾圧は強まっている。時代が逆戻りすれば、正義や報道との摩擦も増えてくる。ワロン記者らは祖国をどんな思いで見ているのだろう。

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