[PR]
胆振地方を震源とする最大震度7の地震を受け、北海道では停電などに備える防災グッズを求める人が急増している。特に家庭用電源が不要なストーブは多くの店で在庫切れで、メーカーは急きょ増産を予定している。専門家は明かりや食料、水、情報入手方法の確保などを日ごろから心掛け「被災時に家で3日間は過ごせるよう備蓄を」と呼びかけている。【横山綾香、三沢邦彦】
ホームセンター「DCMホーマック」旭ケ丘店(札幌市中央区)では、地震後に電池式のランタンが平年の20~25倍、車のシガーソケットから電源を取る器具が平年の3~4倍の売れ行き。ラジオは100個入荷したものが1日で売り切れになるなど、多くの買い物客が詰めかけた。
現在は店舗入り口横の防災用品コーナーに折りたたみ式タンク、家具転倒防止の伸縮棒、非常食など約50品目のグッズをそろえる。同区の大川美幸さん(60)は「スマートフォンの充電に困らないよう、モバイルバッテリーを探しに来た。たくさんありすぎて何を買ったらよいのか」と店員と相談していた。
ただ、家庭用電源を使わないタイプのストーブは、入荷してもすぐに売り切れることも。同区の中山博子さん(67)は「これから寒くなり、また停電があったら困るので石油ストーブを見に来た。他の店も見たが、なかなか置いていない」とがっかりしていた。
家電量販店ヨドバシカメラ札幌店(同市北区)は例年より早くストーブを並べ始め、家庭用電源が不要な石油・カセットボンベ式ガスストーブが約200台売れた。在庫切れの状態が続き、千田卓副店長は「これからさらに需要が高まるので、品ぞろえを強化したい」と話す。
暖房器具を製造するトヨトミ(名古屋市)によると、北海道への今年の石油ストーブ出荷数は地震後に急激に増え、9月中に普段の1年分である1万5000台を超えた。品薄状況を受けて10月から生産量を増やし、年間では例年の2倍になる見込みだという。
道内では気密性が高い住宅が多く、同社販促企画課は「屋外に排気をするタイプに比べて空気が汚れやすいので、使うときは定期的な換気を忘れずに。天板が高温になるので上に洗濯物を干すことにも注意してほしい」と呼びかけている。
札幌市消防局や市危機対策管理課長などを歴任した細川雅彦さん(67)は、市防災協会の防災・危機管理専門官として、防災や危機管理などをテーマに年40~50件の講演を行っている。「ほぼ道民全員が広域停電を体験したことで、『自分は大丈夫』と思っている人も防災への意識が高まるのでは」と今回のブラックアウトが教訓として生かされることを期待する。
細川さんによると、鍵となるのは家庭での備え。地震などの被災時は、最低3日間家庭で過ごせる備蓄が必要と指摘する。
食の面では「火を使えることで非常食の幅が広がる」という理由からカセットコンロを、冬への備えとして電気がなくても使用できるストーブを挙げる。災害用の簡易トイレや飲料水に加え「情報を入手するツールとして手回し充電式のラジオも有効になる」という。
今回の地震・大規模停電の2日前から前日にかけて、台風21号による大きな被害も出た。ここ数年、道内でも台風の上陸・接近に伴う被害が拡大している。細川さんは「複合的な要因で被害は更に拡大する。まずは家庭内で自助の徹底を図り、身の安全を守ることを考え、防災環境を整えてほしい」と話している。
毎時01分更新
乳幼児健診を受けていない子どもが保護者らの虐待を受けて死亡…
世界各国・地域に独自の文化がある。情報発信を担う駐日大使や…
新型コロナウイルスの患者用病床の「供給源」として、民間病院…