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余録

人類が初めて「免疫」という現象を史書にとどめたのは…

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 人類が初めて「免疫」という現象を史書にとどめたのは紀元前5世紀、シラクサ(シチリア)に進攻したカルタゴとギリシャとの戦争の故事である。戦争中に疫病が発生、カルタゴが撤退した8年後のことだった▲新鋭の傭兵(ようへい)で再来寇(らいこう)したカルタゴを迎撃したシラクサ防衛軍は前の戦役を戦った老兵だった。そこに同じ疫病が発生、カルタゴ軍は壊滅したが、ギリシャ側は病気にならなかった。「二度なし」が免疫に与えられた最初の名前であった▲今では人を病気から守るメカニズムとして、小学生にもよく知られる免疫だ。ならば今日最も恐れられるがんも免疫の力で退治できないか。医学に詳しくない者が素朴に夢見る道すじを、まさに現実にした日本人医学者の研究である▲京大高等研究院特別教授の本庶佑(ほんじょ・たすく)さんが今年のノーベル医学生理学賞を受賞することになった。がん細胞を攻撃する免疫の力にブレーキをかけていた物質を発見し、それを取り除くことでがんを免疫療法で治す道を開いた功績である▲言われれば、価格の高さで印象に残った「オプジーボ」という薬を覚えている。あれは免疫のブレーキを取り除く薬なのだった。一度それが「できる」ことを立証すれば、続く研究者がどんどんと治療の前線を広げていく医学の世界だ▲医学に縁の薄い素人が免疫に好感を抱くのは、それが人の体が蓄えている本来の力だからである。「敵」を制するには力ずくだけでないことを示したシラクサの老兵とともに応援したいがんとの戦いだ。

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