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ノーベル賞

本庶氏、新たながん治療に貢献 医学生理学賞

ノーベル医学生理学賞の受賞が決まり、記者会見する本庶佑・京都大高等研究院特別教授=京都市左京区の京都大で2018年10月1日午後7時32分、川平愛撮影

 スウェーデンのカロリンスカ研究所は1日、2018年のノーベル医学生理学賞を京都大高等研究院の本庶佑(ほんじょたすく)特別教授(76)と米テキサス大のジェームズ・アリソン教授(70)の両氏に授与すると発表した。本庶氏は免疫の働きにブレーキをかけるたんぱく質「PD-1」を発見し、このブレーキを取り除くことでがん細胞を攻撃する新しいタイプの「がん免疫療法」を実現した。

 本庶氏は同日、京都大(京都市)で記者会見し、「大変幸運な人間だ。これまで以上に多くの患者を救えるよう、もう少し研究を続けたい」と語った。

 両氏への授賞理由は「免疫抑制の阻害によるがん治療法の発見」。カロリンスカ研究所は「がんは何百万人もの命を奪っており、克服は人間社会にとって重要だ。本庶氏の発見に基づく治療法は、がんとの闘いに著しく効果的であると判明した」と評価した。

 日本からの受賞は2年ぶり26人目。授賞式は12月10日にストックホルムであり、賞金900万スウェーデン・クローナ(約1億1500万円)は両氏で等分する。

 細菌やウイルスなどの異物が生体内に侵入したり、がん細胞が体内で生じたりすると、免疫細胞のリンパ球が異物と見なして攻撃する。逆に、免疫が暴走すると正常な組織を破壊することになる。

 がん治療の分野では、免疫の攻撃能力を高めてがん細胞を退治する「がん免疫療法」が考案されていたが、十分な効果を上げられずにいた。

 本庶氏らの研究グループは1992年、免疫の司令塔を担うリンパ球「T細胞」で働く「PD-1」遺伝子を発見。PD-1が免疫反応のブレーキに相当することが分かり、ブレーキを外せば免疫力が高まってがん治療に応用できるのではないかと考えた。

 その後の研究で、PD-1はT細胞の表面にあり、がん細胞の別のたんぱく質が結合してT細胞に攻撃を中止させていることが分かった。従来のがん免疫療法の効果が限定的だったのは、がん細胞がPD-1の仕組みを悪用し、免疫にブレーキをかけていたからだった。

 本庶氏の発見をきっかけに、PD-1をブロックするがん治療薬の開発が進み、小野薬品工業(大阪市)が14年9月、PD-1の抗体を利用した抗がん剤「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)を発売した。世界各地の製薬会社がよく似たメカニズムのがん治療薬の開発に乗り出しており、新たな治療法としての普及が期待される。

 一方、アリソン氏も免疫のブレーキ役のたんぱく質「CTLA-4」を発見した。

 日本の医学生理学賞受賞は、山中伸弥・京都大教授(12年)や大隅良典・東京工業大栄誉教授(16年)らに続き5人目。【鳥井真平、渡辺諒】

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