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いじめの解決策を議論 「ソーシャルアクションラボ」シンポ

シンポジウムには(奥列左から2人目より順に)荻上チキさん、小森美登里さん、和久田学さん、笠原昭男さんらが登壇し、いじめの解決策について議論した

 「1ミリ、世界をいい方へ」を合言葉に、記事掲載と意見交換を通じ、いじめなど社会課題の解決に一歩踏み出そう。毎日新聞の特設サイト「ソーシャルアクションラボ」の取り組みをもとに、東京都内でシンポジウムが開かれた。子どもをいじめから守るために、今すぐできることを探った。

     ●「通報」大半が賛成

     特設サイトは4月にオープン。いじめの解決策を取材、提案してきた。先月、シンポに向けて12の解決策などを掲げ、サイトやツイッター、フェイスブックで賛否と意見を募った。

     ツイッター上の賛否を見ると、解決策の「犯罪行為は警察に通報」「専門機関を学校に導入する」「第3の場所を用意する」は、約8割が賛成した。「加害者にこそ親身に寄り添う」「学級をなくす」は賛成が5割、反対が2割、どちらとも言えないが3割。いじめを苦にした自殺が起きやすい「中2の2学期にクラス替えする」は、賛成が4割弱、反対が2割、どちらとも言えないが4割強だった。

     寄せられた意見には、大半が賛成した「犯罪行為は警察に通報」にも、「いじめがより陰湿になる」「警察が介入していじめが減るのか疑問」などの反対意見があった。▽「加害者にこそ親身に寄り添う」に対しては、「目からウロコ(の策)でした。ただ厳しく罰しても、本質的な解決ではない、とは大事な視点」「被害者にも寄り添うこと」▽「学級をなくす」には、「クラス制度は小学校4年生まででよい。それ以降はシステムの害悪が目立ち始める」「理不尽な校則や連帯責任がはびこる学級ならいらない」「いじめはクラス内だけで起きるわけではないのでどちらとも言えない」などが寄せられた。

     ●加害者にも親身に

     シンポは、特設サイトに活動が掲載された人たちが登壇者となり、これらの結果を踏まえて議論した。

     「加害者にこそ親身に寄り添う」は、NPO法人ジェントルハートプロジェクト理事の小森美登里さんがかねて提唱し、特設サイトに詳しく掲載している。一人娘をいじめで失った小森さんは「加害者はなぜ、いじめたのか」と疑問を抱き、活動する中で、従来のいじめ対策が被害者にしか目を向けていないことに気づいた。

     「加害者に寄り添うのは、トラブル対応として一般的な方法だ」と、NPO法人ストップいじめ!ナビ代表理事の荻上チキさんは賛同した。子どもの発達科学研究所主席研究員の和久田学さんは「加害者に働きかけて、間違った認識、行動を是正しないといじめ行為を成功体験として学んでしまう」と述べ、自らの感情をコントロールする方法を学校で丁寧に教えることが必要、という見方を併せて示した。和久田さんは、加害行為をする子どもには「モデル」がいると指摘する。親に虐待されたり、別の場所でいじめられたりしており、「加害者にも、被害者の側面があるのではないかと考える視点は重要だ」と語った。

     ツイッター上で大半が賛成した「犯罪行為は警察に通報」は、登壇者の間では「犯罪行為なら通報した方がいい」という点では一致したものの、「いじめはすべて警察にというのは間違い」「教育機関としてのアプローチの放棄になる」「通報するなら事前に説明が必要」と、壇上からさまざまな発言があった。

     ここ数年、学校でのいじめに苦しむ子どもたちに宛てて家でも学校でもない第三の場所として「図書館においで」などと誘う大人たちの声がツイッターで発信されるようになってきた。特設サイトでも「逃げていいと教えることが大事」との意見が目立った。だが、「なぜ被害者が逃げなければいけないのか」という疑問もツイッターで寄せられた。

     小森さんは、加害者にも「第三の場所」が必要だと訴えた。その一案として、登壇した全国生活指導研究協議会代表の笠原昭男さんは、教員時代に空き教室を開放し、生徒の居場所を作った経験から「教員が、加害者にとっての『第三の場所』の一つになれる」と提案した。

     予防につながることとして荻上さんは「いじめる側の子どもに役割や出番を与え、評価されるように促す。教室で誰か1人をいじるような『いじめモード』になりかけたら、教員は意識的に、すぐその空気を消し去る役に回ってほしい」と述べた。

    娘亡くした両親、学校は情報共有を

     会場には、青森市で2016年、いじめ被害を訴える「遺書」を残して亡くなった葛西りまさん(当時13歳)の両親の姿があった。発言を求められた父、剛さんが口を開くと、会場は静まり返った。

     「突然の死でした。いじめを把握はしていて、学校にも相談はしていました。2年たって(調査)報告書が完成して、学校が何をしていたのか、娘が何に苦しんでいたのか、やっと知ることができました」

     「いま学校、先生に一つお願いしたいことがあります。基本的なことだと思う。学校の先生にこうしてほしいと相談した後、(学校が)何をしたのか連絡はなかったんです。もし当時、先生が、学校が、私たちに、学校での様子はこうだったとか、こういういじめがあったよとか、連絡の一つでもあれば、知ることができましたし、もしかしたら救えた命だったんじゃないかと、今でも思っています」

     「そういう意味では、学校と家庭での情報共有が全くできていなかった。当然、学校の先生は忙しい。それでもやはり、情報共有することで、家庭での様子、学校での様子を知ることで、互いの対応も変わってくると思う。最悪の事態を防ぐことにつながる。いじめの早期発見、早期対応にもつながると思う。いま最低限できること、即効性があることとしては、家庭と学校、学校内(の教員同士)でも、情報の共有を義務づけてほしいと思っています」【岡礼子】


     ソーシャルアクションラボ(https://socialaction.mainichi.jp/)は「子どもをいじめから守る」をテーマに4月に開設。中学時代に壮絶ないじめ被害にあった芥川賞作家、諏訪哲史さんのインタビューを手始めに、教育評論家の尾木直樹さん、作家の辻村深月さんらにいじめの対処法やメカニズムを聞いている。

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