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北海道地震

厚真、住民移転の動きも 集落の危機

牧草地にできた大きな陥没を見て回る山田喜代治さん。周囲の山々は土砂崩れを起こしている=北海道厚真町で

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 北海道胆振(いぶり)地方を震源とする地震から6日で1カ月。大規模な土砂崩れで最も被害が大きかった厚真町では、住民の移転の動きが出始めた。町はかつて人口減少で消滅する可能性を指摘され、対策を講じ人口増に転じたところで、地震は誘致策にも打撃になる。自然災害が各地で相次ぐ中、どの自治体でも起こりかねない事態は深刻さを増している。

 集落を囲む山々は地滑りで茶色の山肌がむき出しになっていた。厚真町の幌里開拓集落。自宅近くの牧場で、山田喜代治さん(69)は亀裂をのぞき込んだ。ほとんどの家が傾き、壁にひびが入る。「過疎で減っていたが地震で一気に進むとは」。危機感をあらわにした。

 戦後24世帯が入植し、過疎が進む中、8世帯で助け合ってきた。だが、地震で全てが変わった。井戸を頼ってきた飲み水は出なくなり、中村ミヨさん(76)は土砂崩れの犠牲となった。住民の多くは親類宅や避難所に移った。

 「4頭の牛がいるので離れられない」。自治会長でもある山田さんらは3世帯とともに残るつもりだ。残りの世帯は町内外に転居したり、仮設住宅に入ったりすることを考えている。町内の長男宅に避難する工藤光子さん(81)は「見慣れた顔がちりぢりになるのは寂しいが、足が悪くて」と話す。

 山間部だけではない。ログハウスが並ぶ新興住宅地でも多くの住宅が損壊した。札幌市から移り住んだ男性(69)の自宅は全壊し、町外に出たいという。「この年で被災し、心身ともに疲れ果てた」と漏らす。

 厚真町は、有識者らの「日本創成会議」の分科会が14年、40年までに消滅の可能性があるとした896自治体に含まれる。国立社会保障・人口問題研究所が公表した45年の推計人口は3110人で、今年9月末の4624人から3割減る。

 町は住民の定住策のほかに、移住者向けの新興住宅地を造成。近年は年約50人が移り住み、14年から4年連続で転入者が転出者を上回る。だが、地震後約1カ月で住民はすでに10人ほど減った。町担当者は「誘致策に成果が出始めていたが、今は移り住んでくださいとは言いづらい。転居の動きもあるが、産業復興や住宅支援で努力するしかない」と言う。

倒壊した幌里開拓神社の社殿の手入れをする山田喜代治さん=北海道厚真町で

 山田さんはこの日、地域の守り神である幌里開拓神社を訪ねた。鳥居に続く坂道には地割れが走る。「1人でもお参りを続け、みんなが笑顔で戻ってきて集落が復興することをお願いしたい」。倒れた祠(ほこら)に紫色の神前幕を取り付けながら、そう語った。【山下智恵】

 日本創成会議の分科会の座長を務めた増田寛也元総務相の話 大きな自然災害は地域に打撃となり、将来の人口減少がいち早く到来しかねない。悲観し過ぎることなく挽回策を考え、地域の正確な状況を発信していく努力が必要だ。地域全体の被災リスクが高いわけではなく、風評被害を払拭(ふっしょく)する一方、道や被災自治体は、住民や移住者が住みやすさや自然環境だけでなく、災害への安全性も重視していることを十分意識し、対策を取るべきだ。

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