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余録

東京・日本橋にかつて江戸の台所があった…

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 東京・日本橋にかつて江戸の台所があった。橋のたもとには乙姫(おとひめ)の像が建つ。竜宮城のように各地から魚介類が集まったからだという。像の前には「日本橋魚市場発祥の地」の碑がある▲その碑には「江戸任〓(にんきょう)精神発祥の地」とも記されている。強きをくじき、弱きを助ける江戸っ子の気風はここで生まれた、と。碑文を書いたのは浅草生まれの作家で俳人の久保田万太郎(くぼた・まんたろう)。江戸言葉を用い、消えゆく下町の人情を描いた▲日本橋市場は300年に及ぶ歴史を経て、関東大震災を機に築地へ移転する。その築地市場もきょう83年の歴史に幕を下ろす。11日に豊洲市場が開場する。すったもんだの末だが、築地に移る時も大混乱があった▲江戸期の歌舞伎や講談に登場する一心太助(いっしんたすけ)は日本橋の魚屋だ。正義感あふれる江戸っ子の象徴だった。架空の人物といわれるが、昭和に入っても映画やテレビドラマになり、威勢のいい江戸言葉で啖呵(たんか)を切って人気を集めた。言葉は土地に根付いた文化である▲市場には特有の言葉がある。例えば、商いが暇なことを「芸者の頭」。江戸っ子は「ひ」を「し」と言ってしまう。芸者の髪形である島田(シマダ)が「ヒマダ」の意味になったとか。粋で男らしいさまを表す「いなせ」は、日本橋市場の若い衆の間ではやった髪形に由来するという。魚のイナ(ボラ)の背に似ていたからだ▲日本橋から築地、そして豊洲へ。場所が変わっても、江戸っ子気質は魚河岸を支える人々の間で受け継がれていくだろう。

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