北海道地震

1カ月 復興への道、一歩ずつ

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【現在】1カ月たっても倒壊した小屋や土砂が残る北海道厚真町吉野地区=2018年10月3日午後4時50分、貝塚太一撮影 拡大
【現在】1カ月たっても倒壊した小屋や土砂が残る北海道厚真町吉野地区=2018年10月3日午後4時50分、貝塚太一撮影

 北海道胆振(いぶり)地方を震源とするマグニチュード6.7の直下型地震が発生してから6日で1カ月。最大震度7を観測し、多くの犠牲者を出した厚真町では崩れた土砂を取り除きながら、仮設住宅の建設も進んでいる。道内全域を襲った停電(ブラックアウト)は解消したが、電力供給力は予断を許さない。一方で激減した観光客は戻りつつある。復興への道のりは始まったばかりだ。

【直後】安否不明者の捜索活動が続いていた同地区=2018年9月6日、竹内幹撮影 拡大
【直後】安否不明者の捜索活動が続いていた同地区=2018年9月6日、竹内幹撮影

厚真 続く避難生活

 激しい揺れに襲われた厚真町では、大規模な土砂崩れが発生。36人が亡くなり、61人がけが、5日時点で建物3168棟が壊れた。

 吉野地区では住民34人のうち19人が亡くなった。安否不明者の捜索は土砂に妨げられ、自衛隊や消防の車両が迂回(うかい)路に長い列を作った。その後、遺族らが花束を手向ける姿が見られた。

 通行規制は今も一部で続いており、日が暮れると、人の気配はなく静けさが地区を包む。

 地震直後の9月7日、道内で1万3111人いた避難者は18日に1000人を切り、10月5日には4市町458人。うち厚真町は277人だ。町営住宅などのみなし仮設35戸への入居は1日に開始し、応急仮設住宅の建設も始まった。隣の安平、むかわ両町と合わせ計130戸が10月末までに完成する。

 一方で厚真町内は道内で唯一断水が続き、48戸が不便な生活を送っている。町中心部には山積みとなった支援物資、自衛隊車両や給水車などの姿があり、日常にはほど遠い。

【現在】泥は一部取り除かれたものの、傾いた家屋や道路の復旧は進んでいない=札幌市清田区で2018年10月2日、竹内幹撮影 拡大
【現在】泥は一部取り除かれたものの、傾いた家屋や道路の復旧は進んでいない=札幌市清田区で2018年10月2日、竹内幹撮影

札幌 家の傾き拡大

【直後】液状化が起きた直後の住宅街=同区で2018年9月6日、土谷純一撮影 拡大
【直後】液状化が起きた直後の住宅街=同区で2018年9月6日、土谷純一撮影

 幅約80メートル、長さ約250メートルの範囲で地面が大きく陥没し、建物や電柱が傾く。札幌市清田区里塚地区の住宅街。JR札幌駅から南東約12キロにある一角は地震直後、液状化して流出した土砂に約50センチの深さで覆われた。土砂は取り除かれたが、地震前の風景には遠く及ばない。

 造成時に谷のくぼみを埋めたとみられる部分で、一帯の約40軒が「全壊」と判定された。

 市は原因調査に約3カ月かかると言う。被災した住宅や宅地は今もほとんど手がつかず、建物の傾きが少しずつ大きくなるケースも。「この土地に住み続けられるのか」「調査を待っていたら被害が拡大するのでは」。積雪を前に、住民は戸惑い、いらだっている。

【現在】節電後初めて点灯されたススキノのネオン看板=札幌市中央区で2018年9月19日午後6時36分、貝塚太一撮影 拡大
【現在】節電後初めて点灯されたススキノのネオン看板=札幌市中央区で2018年9月19日午後6時36分、貝塚太一撮影

安定供給 予断許さず

【直後】地震で停電し、暗闇に包まれるススキノ交差点=札幌市中央区で2018年9月6日午後6時半、貝塚太一撮影 拡大
【直後】地震で停電し、暗闇に包まれるススキノ交差点=札幌市中央区で2018年9月6日午後6時半、貝塚太一撮影

 地震で北海道内最大の火力発電所、苫東厚真(とまとうあつま)の3基の発電機が順次停止し、わずか18分で道内全域が停電(ブラックアウト)した。一部離島を除く295万戸への電力供給が停止、その後も住民の日常生活や企業活動に大きな影響を及ぼした。

 札幌市中央区のススキノ。道内最大の歓楽街は地震直後、ネオンや信号機が一斉に消えた・貝塚太一撮影。飲食店やホテルの外には不安そうな表情の観光客があふれ、交差点では警察官が交通整理に当たった。

 その後、停電はほぼ解消したが、国は9月10日、電力供給不足で計画停電の可能性もあると2割節電を要請。街のシンボル、ニッカウヰスキーの巨大ネオンサインも消えた。再び点灯したのは、その9日後に苫東厚真1号機が復旧してからだ・竹内幹撮影。

 現在の電力供給力は地震直前のピーク需要(383万キロワット)を上回るが、昨冬のピーク525万キロワット(今年1月)には達しない。

【現在】小樽運河のにぎわいは戻りつつあるが地震前の水準に届かないという=小樽市で2018年9月29日午前11時27分、土谷純一撮影 拡大
【現在】小樽運河のにぎわいは戻りつつあるが地震前の水準に届かないという=小樽市で2018年9月29日午前11時27分、土谷純一撮影

外国人 まだ二の足 国・道の宿泊助成へ期待

【直後】地震直後、国内外の観光客のキャンセルが相次ぎ観光客の姿はまばらに=同市で2018年9月14日午前11時58分、竹内幹撮影 拡大
【直後】地震直後、国内外の観光客のキャンセルが相次ぎ観光客の姿はまばらに=同市で2018年9月14日午前11時58分、竹内幹撮影

 今回の地震や大規模な停電は、北海道各地の観光地にダメージを与えた。

 道は3日、9月末までに115万人が宿泊を解約し影響は356億円に上ると発表。札幌市に次いで観光客数が多く、いつもなら大型バスが並ぶ小樽市の小樽運河や堺町通りも、一時は歩く人がほとんどいなくなった。

 市観光振興室が事業者から聞き取ったところ、地震後1週間の人出は「9割から7割減」だったが、今は「平年の6、7割に回復してきた」との声を聞くという。道内に住む日帰り客が目立ち、国や道の宿泊助成など観光支援策に期待する。

 小樽運河近くの海産物店の従業員は「少しずつ日本人客は戻ってきたが、外国人客は少なく、まとめ買いをしてくれない」と話した。

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