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ノーベル平和賞

性暴力「泣き寝入り」「名誉殺人」に警鐘

ノーベル平和賞授与が決まったナディア・ムラドさん(2右)とデニ・ムクウェゲ医師=AP

 【カイロ篠田航一】過激派組織「イスラム国」(IS)の性暴力を告発したイラクの宗教的少数派ヤジディー教徒、ナディア・ムラドさん(25)と、コンゴ民主共和国で性暴力被害者のケアを続けてきたデニ・ムクウェゲ医師(63)へのノーベル平和賞授与が決まった。実態が伝わりにくい中東・アフリカの紛争地域で性暴力に立ち向かった勇気が称賛される一方、性暴力に「泣き寝入り」する被害者が後を絶たない現状に国際社会が警鐘を鳴らした格好だ。

 ムラドさんの兄で、イラク北部クルド自治区の難民キャンプで暮らすホスニさん(37)は5日、毎日新聞の電話取材に「きょうだい6人が殺害され、私とナディアは生き残った。物静かで小さな妹が、大きな勇気を見せた成果。誇りに思う」と話した。

 ISは2014年8月にムラドさんの故郷コチョ村などに侵攻し、多くの女性をレイプした。戦時下での性暴力は住民に恐怖心を植え付け、支配する手段として使われる。ISはこの手法で暴虐の限りを尽くした。

 医師のムクウェゲさんは「レイプがコストの安い『戦争の武器』として使われている」と危機を訴え続けた。コンゴでは豊富な鉱物資源を争う中で、住民の恐怖をあおる手段としてレイプが頻発する。

 一方、女性の純潔が重視される中東諸国では、レイプも「婚前・婚外交渉」として被害者に厳しい視線が向けられるケースが多い。被害女性を「家族の名誉を傷付けた」として殺害する「名誉殺人」が横行する。ムラドさんの親戚のヤジディー教徒タメル・ハムドンさんは「過酷な体験をしながら、どれほど勇気を出したことだろう」と受賞決定の報に声を詰まらせた。

 被害者の「泣き寝入り」が珍しくない中東・アフリカには、レイプの加害者が被害者と結婚すれば罪を免れるという法律が各地に残る。だが近年、こうした法律も徐々に撤廃されている。

 モロッコでは12年、両親や裁判官の勧めで加害者と結婚した16歳の少女が自殺。これを機に法律廃止を求める声が高まり、14年に撤廃された。同様の法律はヨルダンやチュニジアでも廃止となった。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは17年、この法律を維持するシリアやリビアなどに撤廃を求めた。

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