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貿易交渉

TAG巡り、日米の認識のずれ早くも表面化

 日米両政府が先月、交渉入りに合意した「物品貿易協定(TAG)」を巡り、早くも認識のずれが表面化している。パーデュー米農務長官は4日、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)などを上回る農林水産品の関税引き下げを求める考えを示唆。米国の強硬姿勢が鮮明になり、日本は厳しい交渉を迫られそうだ。

     「日本がEUに与えたのと同等かそれ以上の対応を期待する」。パーデュー氏は4日、ワシントンで開かれた会合でこう発言。「米国の目標は原則、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)プラスになる」とも述べた。

     日米両政府は先月の首脳会談で、農産物や鉱工業品など物品の関税引き下げを主とする新たな交渉に入ることで合意した。年明けにも始まる交渉では、農林水産品について過去の通商協定の水準までしか譲れないとする日本の立場を米国が「尊重」することを確認していた。

     これに反するようなパーデュー氏の発言を受け、日本政府には反発が広がる。菅義偉官房長官は5日の閣議後の記者会見で「日米首脳の合意が政府間の共通認識だ」と反論。吉川貴盛農相も「首脳間で、文書で確認した意義は極めて大きい」と米側をけん制した。

     一方、ペンス副大統領は4日の演説で「日本と歴史的な自由貿易交渉(Free Trade Deal)をまもなく始める」と述べた。将来の自由貿易協定(FTA)も視野に幅広い分野での貿易自由化を目指す姿勢をにじませた形だ。

     日本では、2国間のFTA交渉に応じればTPPなどを上回る譲歩を迫られかねないとの懸念が根強い。このため、政府はTAGについて「包括的なFTAとは全く異なる」(安倍晋三首相)と説明しており、米側の発言に神経をとがらせている。

     ペンス氏は来月中旬に来日し、安倍首相や「日米経済対話」の相手方の麻生太郎副総理兼財務相と会談する方向で調整中。TAG交渉の進め方についても意見交換するとみられる。麻生氏は両政府の認識の違いについて、閣議後の会見で「日米首脳会談でFTAという言葉は一言も出ていないと記憶している」と述べた。

     トランプ米政権からは「我々は日本を守っている。他国にできることをなぜ米国にはできないのか」(パーデュー氏)との発言も飛び出す。安全保障を絡めて通商交渉で譲歩を迫る強硬姿勢に、日本側は「米国が揺さぶりをかけてきた。駆け引きはもう始まっている」(与党関係者)と警戒を強めている。【加藤明子】

    TAG

     鉱工業製品や農林水産品など物品にかかる輸入関税の引き下げや撤廃を定める国同士の協定で「Trade Agreement on Goods」の略。「物品貿易協定」と和訳される。

     日本政府は「対象は物品に限られ、サービスなども含めて関税の引き下げや撤廃を定める包括的な自由貿易協定(FTA)、さらに投資や知的財産権、電子商取引などのルールづくりも含む経済連携協定(EPA)とは異なる」と説明する。

     ただ、これらの呼称はいずれも「国際的に明確な定義があるわけではない」(外務省)という。物品の関税は多くの国が通商交渉で最も重視し中核となる項目でもあり、解釈次第でFTAとの区別が曖昧になりやすい。

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