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社説

災害時の訪日外国人対応 観光立国の大きな課題だ

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 この夏から秋にかけて相次いだ大型台風や地震で、訪日外国人観光客への対応が課題となっている。

     一連の災害では、日本語が理解できず、情報不足で不安な一夜を過ごした人も多かった。まず、災害や交通などに関する情報の多言語化を早急に進めるべきだ。

     観光庁は先日、多言語による災害情報アプリの充実や、24時間365日相談に応じるコールセンター設置などの対策を発表した。JR京都駅の観光案内所では、台風24号接近を受けて英中韓3カ国語対応をしたという。取り組みが広がりつつある。

     ただ、訪日客の主な情報収集の手段は自国でなじみのあるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で、災害アプリなどの認知度は低い。各国の大使館や領事館にこうした対策を説明し、緊急時の情報発信に役立ててもらうことも大事だ。

     自動翻訳機などを活用しつつ、緊急時に外国語で応対できる人材の育成も忘れてはならないだろう。

     また、停電にも備える必要がある。北海道地震を受けた外国人観光客への民間企業のアンケートでは、スマートフォンの充電場所の提供を求める声が最も多かった。

     慣れない土地での情報収集に、スマホは必須となっている。主要空港や駅、観光案内所など外国人観光客が多く訪れる場所では、十分な非常用電源を確保しておくべきだ。

     さらに、外国人の受け入れが可能な避難所の整備も課題である。先の地震で札幌市は急きょ、外国人を含む観光客向けに避難所を6カ所開設した。ところが、意思疎通がうまくできず、どこに行けばよいのか分からない人もいたという。

     奈良県と奈良市は昨年、県施設を使った外国人専用の避難所開設について協定を結んだ。イスラム教徒用の礼拝室も設置しているそうだ。先進事例として参考になるだろう。

     政府は成長戦略の目玉として「2020年までに訪日客4000万人」の目標を掲げる。多くの外国人が訪日するのは歓迎だが、災害時のケアも「おもてなし」に不可欠との認識が足りなかったのではないか。

     訪日客は言葉だけでなく、文化や生活習慣も異なる。こうした前提に立った支援をしてこそ、「観光立国」と言えよう。

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