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内田麻理香・評 『錬金術の秘密 再現実験と歴史学から解きあかされる「高貴なる技」』=L・M・プリンチーペ著

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 ◆L・M・プリンチーペ著、ヒロ・ヒライ訳

 (勁草書房・4860円)

複雑な歴史を一望

 他の金属を金に変成するという「高貴なる技」、錬金術。謎めいた魅力を持つ錬金術は、絵画、演劇、マンガなど、数多くの創作物の源となってきた。その一方で、錬金術は荒唐(こうとう)無稽(むけい)な探求をした、非科学的な営みというレッテルも貼られている。本書は、錬金術を歴史の文脈に沿って解釈し直すことを通じて、その誤解を解いていく。

 錬金術は、化学実験の手法や器具を生みはしたが、妄想の産物であったと見なされる。著者は化学と錬金術を区分することの問題を指摘し、双方を包含する知の伝統を「キミア」という用語で表現することを提唱した。錬金術と化学が区分されるようになったのは、キミアの地位向上のためであった。一七世紀末に、キミアを独立した学問として認めさせるために、批判の多かった金属変成を目指す錬金術の部分を分離したのだ。一八世紀以前…

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