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大竹文雄・評 『偏見や差別はなぜ起こる? 心理メカニズムの解明と現象の分析』=北村英哉、唐沢穣・編
毎日新聞
2018/10/7 東京朝刊
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(ちとせプレス・2700円)
差別や偏見の低減手段も紹介
あなたはコイントスによって無作為に分けられたA組とB組のうち、A組に属していたとする。コイントスによって組分けがされていることを知った上で、メンバーに自由にお金を配分する権利を与えられたとすれば、あなたはどのように配分するだろうか。社会心理学の実験結果は、このような無意味に作られた集団でさえ、人は自分が属する集団に、より多く分配することを示してきた。このような特性は、内集団バイアスと呼ばれており、本人に自覚されていないこともあるという。
無作為に出来上がった集団に対してさえ、私たちは気が付かないうちに差別をしている。人種、性別、民族などで差別意識をもったり、そのようなグループのステレオタイプから人を判断してしまったりすることはもっと多い。
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