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築地閉場

「コハダが一番」仲卸“60年”共に引退

6日を最後に店の番頭を退いた大塚剛さん

 江戸の活気や人情を感じさせる特別な場所。そんな築地市場が6日、83年の歴史を終えた。市場で商売をしてきた人、縁の下で支えてきた人、最後を見届けたい人……。築地を愛し、別れを惜しむ人たちが、思い思いに感謝の言葉を口にした。

     「江戸前ずしの代表格、コハダがなんてったって一番面白かったよ」。60年以上勤めた仲卸「かね七水産」を6日限りで辞めた番頭の大塚剛さん(78)は目を細めた。「天気が悪いといなくなっちまう。相場は上がったり下がったり。安く買って高く売れた時は最高にうれしかったねえ」

     千葉・浦安生まれ。中学を出て魚河岸に入った。「あの頃は、浦安の人間が働くといえば築地が当たり前。そういう時代だった」

     いつものように午後11時に起き、神棚に手を合わせて家を出た。場内の立体駐車場の「一番いい場所」に陣取り、午前1時まで1時間半、ラジオを聞きながら、買う魚を考えた。

     卸売場を5~6回往復し、サンマやイワシ、サバの入荷具合を確認する。「どの産地がいいか、どの荷受けが安いか。長年の勘を頼りに魚を買うんだよ」。ウニの下見を終え、店に戻って赤貝や平貝の殻むきを済ませてから、再びウニの競り場へ。長年の習慣だ。競り人のあいさつを聞いているうち、胸に熱いものがこみ上げてきた。「俺は60年ここでやってきたんだってね」

     この日、ウニの相場はつり上がった。ご祝儀相場で最高級ブランドに16万円の築地史上最高値が付いた。「うちのお客は下町のすし屋ばかり。あれじゃとても手が出ないよ」。手ぶらで店に戻った。

     午前7時過ぎ、働き始めた頃からの常連客がやってきた。「ごくろうさん」。白髪の同世代から肩をたたかれ、静かにうなずいた。

     築地市場は「人生そのもの」という。「さあ、あしたから何をするかな」。ぴんと伸びた腰に手を当て、さらりと言った。

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