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カネミ油症

検診による患者の認定率3.92%

 1968年10月に発覚した国内最大の食品公害「カネミ油症」で、被害者救済法が制定された2012年度から6年間に検診を受けた延べ918人のうち患者認定されたのは36人で、認定率は3.92%にとどまることが毎日新聞の取材で分かった。救済法が認定対象に加えた患者の同居家族は同期間で320人が認定されたが、通常の検診による認定率は依然として低迷していることが浮き彫りになった。カネミ油症は今月で発覚から50年を迎えたが、患者団体からは未認定患者救済のため認定基準の見直しを求める声が上がる。

 厚生労働省によると、12年度以降の6年間に通常の検診を受けて患者認定されたのは、毎年度2~16人で計36人だった。認定率は年度によって1.63~6.35%で推移していた。一方で患者認定された同居家族は初年度の12年度が196人、13年度が74人と多かったが、14年度以降は毎年度9~18人と減っていた。

 検診では、皮膚の吹き出物や色素沈着、血液中のポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)濃度などが重視されるため、一般の疾患と区別が付きにくい頭痛や倦怠(けんたい)感などの症状だけでは患者として認定されない。このため同じ米ぬか油を摂取した家族の間でも症状や血中PCDF濃度にばらつきがあって認定結果が分かれる問題が生じた。救済法はこうした問題を解決する“政治的判断”により、患者と同じ米ぬか油を摂取したとみられる同居家族については検診を受けなくても認定対象にすることにした。

 しかし、差別や偏見を恐れて検診を受けてこなかった人や、家庭以外の社員食堂などで米ぬか油を摂取した人、患者の子供や孫の世代の多くは公的救済の枠組みから取り残され、患者団体から「被害者の全面救済に向けて認定基準の見直しが必要」との声が上がる。

 九州大の油症治療研究班長の古江増隆教授は「ダイオキシン類は一般人からも検出されるため、現在の血液中のPCDF濃度などの診断基準は医学的根拠をもって油症と診断しうるギリギリのものだ。これ以上、認定のハードルを下げるなら、同居家族のように法律に基づく認定でなければ難しい」と指摘。高崎経済大の宇田和子准教授(環境社会学)は「医学的な認定基準とは別建てで、問診や証言によってダイオキシンが混入した米ぬか油の影響を推認できれば患者認定する仕組みが必要だ」としている。【青木絵美】

カネミ油症

 カネミ倉庫(北九州市)製の米ぬか油を摂取した人たちが皮膚の吹き出物や倦怠(けんたい)感などの異常を訴えた国内最大の食品公害。1968年10月の発覚から69年7月1日までに西日本一帯の1万4320人が被害を届け出たが、2017年度末の認定患者数は2322人(死亡者含む)にとどまる。カネミ倉庫が米ぬか油の脱臭工程で熱媒体として使った鐘淵化学工業(現・カネカ)製のポリ塩化ビフェニール(PCB)が配管の破損で油に混入。PCBの加熱で生成された猛毒のダイオキシン類、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)が主な原因とされる。

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