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余録

水に映った自分の姿に恋をして…

 水に映った自分の姿に恋をしてやつれ死んだ青年ナルキッソスの話はご存じだろう。彼が生まれた時、母親に未来を聞かれた予言者テイレシアスは「自分自身を知らなければ長生きするだろう」と答えている▲そのナルキッソスが自分の姿が映る泉に導かれたのは女神ネメシスの仕業だった。復(ふく)讐(しゅう)の神とされるネメシスだが、高慢(こうまん)を罰するのが本来の役目で、この時はナルキッソスを愛しながら無視された妖精エコーの祈りに応えたのだった▲今日のナルキッソスたちは山中の泉で人知れずやつれ死ぬようなことはない。スマホやカメラで自撮り写真や動画を撮りまくり、ブログやインスタグラムで全世界に配信する。だが、ネメシスの目はこちらにも光っているようである▲CNNは先日、自撮り写真を撮ろうと事故にあい、死んだ人が世界中で6年間に259人になるとの調査結果を報じていた。高所でポーズをとって転落したり、波にさらわれたり。車の運転中や危険動物と一緒の自撮りも死を招いた▲女性の方が自撮り写真を撮る人は多いが、わざと危ないシーンを演出するのは主に男性で、死者の7割を超える。年齢は30歳未満が大半という。米国では格好づけに用いた銃の暴発が目立ち、高慢と虚栄心にネメシスは厳しいようだ▲調査の数は氷山の一角、しかも死者は年々増えているという。日本でも時にインスタ映え狙いの危険行為がとりざたされるが、世界の大勢に従う必要はない。自分自身を知って長生きしてほしい若者たちだ。

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