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自由貿易を骨抜きにして、日本の企業や経済にも悪影響を及ぼす。
米国とメキシコ、カナダの北米自由貿易協定(NAFTA)見直し交渉が決着した。「米国第一」を掲げるトランプ米大統領が自国の貿易赤字削減を狙って推進したものだ。
焦点となった自動車貿易の条件は、米国に都合良く変えられた。メキシコとカナダで生産して米国に輸出する日本メーカーに不利に働く。
まず関税ゼロで輸出できる条件として米国製部品を多く使うことが事実上義務づけられた。部品の安いメキシコで生産する日本メーカーは高い米国製への変更を強いられる。
日本メーカーはNAFTAを活用して低価格で高品質の車を輸出し米国の消費拡大に貢献した。見直しはこうした自由貿易の利点を損なう。
日本への影響がもっと懸念されるのは、国際ルールが禁じる数量規制が実質的に導入されたことだ。
メキシコとカナダから米国に輸出される自動車台数が一定の水準を超すと、米国は高関税で対米輸出を事実上困難にする。メキシコは今の増加ペースならあと数年で水準に達する。米国の露骨な保護主義策だ。
数量規制は通常の関税よりも自由貿易をゆがめる。関税と違って輸入国の消費者の負担が見えにくいため規制を長期間続けやすいからだ。
また、自由貿易の目的は関税を下げて輸出入をできるだけ増やし、関係国全体の経済を活性化することだ。国が輸出入の量を制限すると自由貿易自体が成り立たなくなる。
今後心配なのは、米国が今回の見直しに味を占め、日本との貿易交渉でも対米自動車輸出の数量規制を強要してくる恐れがあることだ。
トランプ氏はメキシコとカナダに対し、輸出水準とは無関係に高関税を課す強硬策もちらつかせて譲歩を迫った。米政府は「今後の貿易交渉のひな型」と位置づけており、日本にも高関税を持ち出しかねない。
ただ米国が数量規制で自国産業を守っても高コスト体質を温存するだけだ。過去の日米自動車摩擦で日本は輸出規制をのまされたが、米国メーカーの経営は好転しなかった。
米国は欧州連合(EU)との貿易交渉でも数量規制を求める可能性がある。日本はEUと連携し米国に保護主義策の撤回を求めるべきだ。
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