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インドネシア地震

「泥が津波のように、村が消えた」

寸断された幹線道路の端から、大量の泥に覆われていた村を指さす住民ら=インドネシア中スラウェシ州シギ県ジョノオゲ村で2018年10月6日、小泉大士撮影

スラウェシ島、液状化現象による地滑りが発生

 【シギ県(スラウェシ島中部)小泉大士】「大量の泥が津波のように押し寄せ、村が消えた」。インドネシア・スラウェシ島で9月28日に発生した大地震で、液状化現象による地滑りが発生したとみられるシギ県ジョノオゲ村。幹線道路沿いにあったはずの民家や教会、モスク(イスラム礼拝所)、食堂などが数キロ先まで流され、想像をはるかに超える惨状を呈していた。7日現在の死者数は1763人だが、犠牲者がさらに増えるのは確実だ。

 無数の陥没や地割れができた道路は、小さな橋を渡ると突然消えていた。目の前に広がるのはトウモロコシ畑。のどかな農村風景に見えるが、村で家畜を飼っていたマデ・ウィダナさん(52)は「このトウモロコシ畑はあそこから流されてきた」とはるか遠くの丘のふもとを指さした。

 ウィダナさんによると、地震発生時、激しい横揺れに続いて「地面が割れ、大量の泥や水が噴き出した」。住宅街は跡形もなく、大量の泥や水に覆われた。点在するココナツの木も流されてきたという。

 津波にさらわれたような惨状だが、住民らは「津波じゃない。ここは沿岸から遠い内陸。村は泥の波にのみこまれた」と繰り返した。

 幹線道路脇にあった教会では当時、高校生ら約200人が泊まりがけで聖書を学ぶキャンプに参加していた。90人が助かったが、残りは行方不明だ。生存者の父親(51)によれば、地中から噴き出した泥は「高さ約10メートルはある教会の屋根まで達した」。

 教会の屋根部分は、元の場所から約2・5キロも流されていた。壁が大破し、周囲にはクリスマスの飾りなどが散乱していた。長女メルシーさん(17)が行方不明のジョニ・タトゥンダさん(48)は「娘の着替えが入ったバッグが見つかった。どこかにいるはずだ」と疲れ切った表情で語った。家族ら12人で震災の翌日から捜しているという。

 ジョノオゲ村から約3キロ離れたランガレソ村でもトラックが泥に埋まっていた。農家のイクラムさん(56)は「暗闇の中、『助けて』という声がする方向にロープを投げた」。父親に抱かれた赤ん坊を含む約30人を救出したが、これまでに20人が遺体で見つかった。

 液状化とみられる被害はパル市郊外のペトボ地区(1747棟)でも発生。水田の先は崩れて地表がむき出しになり、最大7メートルの高低差ができていた。民家は津波に襲われたように土台から流され、約740棟が泥にのまれたという。あまりの惨状に手が付けられないのか、重機による捜索作業も行われていなかった。

 住民のイルワンさん(27)は「1000人近くが埋まっているはず。一夜にして集団墓地になってしまった」と肩を落とした。

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