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北海道地震に伴う大規模停電(ブラックアウト)を検証する第三者委員会(委員長=横山明彦東京大学大学院教授)は9日、再発防止策を議論した。緊急時に需要を抑えるため一部地区を強制的に停電させる「負荷遮断」の設定上限量を35万キロワット増やすことや、経済産業省の認可団体「電力広域的運営推進機関」が北海道電力の運用を監視することなどが提案され、おおむね了承された。月内にまとめる中間報告に盛り込む。【和田憲二、袴田貴行】
同委の分析によると北電は地震後、3回にわたり事前に設定していた上限いっぱいの計146万キロワットの負荷遮断(強制停電)を行った。本州からの応援送電50万キロワットや、一部発電所で緊急時に増やせる供給力4万キロワットも加え、計200万キロワットを積み上げたが、地震直後に発生した供給停止量を賄えず、ブラックアウトに陥った。主力の苫東厚真火力発電所に依存する一方、くみ上げた水を必要時に落として発電する揚水式の京極水力発電所1、2号機(各20万キロワット)がいずれも故障や点検で停止していたことも一因となった。
そのため、地震後に発電を停止した209万キロワット(苫東厚真全3基と風力、水力発電の合計)に原因不明の停止分26万キロワットを加えた計235万キロワットの喪失にも耐えられるよう、負荷遮断の上限を35万キロワット増やす。京極1、2号機も常時稼働できるようにすることで余力を確保する。京極が1基でも停止した場合は広域機関が北電の運用を監視する。
これらの対策は、来年2月の石狩湾新港火力1号機(57万キロワット)の運転開始や来年3月に予定する本州と北海道をつなぐ送電線「北本連系線」の増強(30万キロワット)が行われるまで実施する。
委員会は、ブラックアウトからの復旧経過も分析した。発電設備が全停止した9月6日午前3時25分から、全域への送電を再開した同8日午前0時13分までの約45時間を対象に復旧作業の手順や所要時間を調べた結果、「おおむね妥当」と評価した。
ただ、6日午前4時に開始した最初の復旧作業が失敗し、6時半にやり直した経緯を挙げ、「こうした不具合がなければ復旧が数時間早まった可能性がある」と指摘した。
第三者委が提示した主な再発防止策
・需給逼迫(ひっぱく)時に強制停電させる上限量を35万キロワット分拡大
・京極水力発電所1、2号機の常時稼働
・京極のいずれか1基が停止した場合、広域機関が監視する
・設備対策や訓練、研修の充実